別の町に行って冒険者になる
「ふぁ~~~~~、いい朝です!」
馬小屋に差し込む朝日で目を覚ました僕は、外に出て大きく伸びをした。
山から覗く太陽が、きれいになった町を美しく照らしている。
弱かった頃の僕を虐げていたみんなは、全員殺した。
これでようやく夢を追い求めることができる。
僕の心は晴れ晴れとしていた。
この世界は理不尽だ。
力を持つ者は、何の躊躇もなく力を持たない者からすべてを奪い去る。
力なき者は、ただ奪われるのを黙って見ているしかない。
仮に強くなろうと努力しても、それを気に食わない連中が嘲笑いながら足を引っ張り、踏みつけ、心を折っていく。
弱者は弱者のままで、強者はずっと強者でいる。
僕はずっと……弱い人たちを守ってあげられる強い冒険者になりたかったんだ。
4日前までは僕も弱者だった。
だけど、今は違う。
この世の理不尽を理不尽に切り裂く『死神』になったんだ。
……あれ? 冒険者じゃないですね。
ま、まぁいいですよね?
死神になった今でも僕は冒険者になりたいんです!
「いい機会だから別の町に行って冒険者になろっと!」
僕は身支度をして町を後にした。
※荷物
・勇者からちゃっかり奪った剣
・受付嬢を殺る時に拝借した誰かさんの冒険者カード(偽造用)
・100000G
冒険者の平均年収10年分!
勇者たちの貯めたお金
・バック
・水や食料
別の町に着くのにそんなに時間はかからなかった。
スキル<死神の瞬歩>で瞬間移動しながら町を目指したからだ。
どうやら、目に見える範囲で瞬間移動できるらしい。
そういえば、何の気なしにスキルを使って殺してきたけど、まだ『死神』という職業について知らないことがたくさんあるんですよね。
なんで能力値のパラメーターが「―――」になっているんだとか、そもそも『死神』って職業なの? とか。
スキルについても、まだまだ知らないことがたくさんありそうですし。
まぁ、そこら辺は冒険者になってからじっくりと検証していこう。
これから冒険の拠点とする町『アルムス』。
町の東側には海があり、海の幸豊かな平和な町。
けっこう値段のする宿を借り、食事を済ませたあと僕は魔道具屋に赴いた。
奪った冒険者カードをいい感じに偽造してもらうためだ。
偽造には、口止め料も含めて1000Gかかってしまった。
必要経費だ……しかたがない。
まぁ、勇者たちが貯めたお金だからちっとも痛くないんですが。
僕は偽造した冒険者カードを持って、この町のギルドに行った。
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(偽造)
名前:カルマ
職業:上級冒険者
攻力: 1960
体力: 1293
物耐: 1638
敏速: 2748
魔力: 2291
魔耐: 1692
スキル:
<気配探知+2>
半径200メートル以内の気配を感じることが出来る
<剣術強化+3>
剣術がかなり上昇する
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僕はギルドの建物に入り、カウンターへと向かった。
受付嬢に、別の町から引っ越してきて、しばらくの間『アルムス』を拠点に冒険をするから登録をしてくれと頼んだ。
「分かりました、では冒険者カードを拝見させていただきます……上級冒険者!? し、失礼ですがカルマ様の年齢をお聞きしても?」
「僕ですか? 14歳ですよ」
「14歳で上級冒険者……」
受付嬢は疑うような目で僕を見てくる。
魔道具師が冒険者カードを偽造できることは周知の事実ですからね。
この人は、僕が冒険者カードを偽造したのではと疑っているのだろう。
そんな露骨に疑いの目を向けなくても……。
いやまぁ、偽造してるんですけどね。
冒険者カードが本物かどうか調べる術は今のところ存在しない。
ギルドとしては冒険者を信用するしかないため、時々カードを偽造した冒険者が力量以上のクエストを受けてあっさりと死んでしまうことがある。
自業自得と言えば、確かにそうなのですが。
「適当なクエストでも見繕ってくれませんか?」
「分かりました、少々お待ちください」
受付嬢はカウンターの奥に消えていった。
今日は、とりあえずスキルを使わずにモンスターと戦って自分の基礎能力を調べようと思う。
カードに表記されてるパロメーターが「―――」じゃ、強さが分からないですからね。
バンッ!――――――
唐突に、ギルドに響き渡った入り口の扉を無造作に開ける音。
汚い笑みを浮かべた冒険者3人がボロボロの服を着た少女を引き連れてギルドに入ってきた。




