地味な作業からの大虐殺
女魔法使いを殺ったあと、僕は馬小屋で深い眠りについてしまったため、起きた時には太陽が沈みかけていた。
……とりあえず、お腹が減った。
僕は勇者たちが泊まっていた宿屋に侵入し、勇者たちが貯めていた金をすべて譲り受け、食堂で飯を食べる。
まぁ、酒場で毎日のように飲んでいた勇者たちの金なんて、たかが知れてますが。
ちなみに、僕が蹴られるのを笑いながら見ていた宿屋の主人が、カウンターの奥で酒を飲んでいたので、ついでに背後に回って頸動脈をスパンッとしておいた。
今度は血まみれにならずに済んだ、よかったです。
―――飯を食べながら僕は考えた。
殺りたい人間は、146人。
その全員が、今まで僕に暴力を振ったり、笑いながら傍観していた者たち。
これから町を回って手当たり次第に殺ってくのもいいけど、さすがに多すぎる。
道の真ん中で突然、血を吹き出しながら人が倒れたらパニックになってしまう。
なんか、パ~~ッと愉快に一斉に消す方法はないのだろうか?
僕は1分で最適の方法を思いついた。
飯を食べ終えた僕は小道具屋に行き、裁縫用の針を買った。
そして、人気のない路地裏でスキル<死神の黒衣>を発動し姿を見えなくする。
……あとは地道に殺りたい人間をチクチク刺していくだけ。
僕が勇者パーティーの連中に虐げられているのを知りながら、知らないふりをしていたギルドの受付嬢。
頑張って貯めたお金で買った短剣を、見習い冒険者にはもったいないと言って奪っていった冒険者。
(コイツのせいで、僕は錆びて刃こぼれした短剣をずっと使う羽目になった)
殴られて道の真ん中でうずくまっていた僕を、邪魔だと言って道の端まで蹴り飛ばした衛兵。
ご飯を食べようと店に入ったら、薄汚れた貧乏人は店に入んなと店の外に投げ飛ばした店主。
路地裏で女性を強姦していたろくでなし冒険者。
……こいつらは見つけた瞬間に殺した。
刺された人間は、虫に刺されたと思って特に気にしない。
思いのほか時間がかかってしまい、全員チクチク刺し終わるのに1日かかってしまった。
やっと終わった……。
次の日の夜になっちゃったよ。
まぁでも、準備は整った。
よし、殺るぞ!
―――僕はスキル<死神の誘い>を使った。
数秒後、町のところどころで悲鳴が上がった。
町の中にいた146人の人間が一斉に倒れて死んだからだ。
酒場で仲間たちと楽しく酒盛りをやっていた冒険者。
ギルドで眠たそうに仕事をしていた受付嬢。
カウンターで客と談笑していた店主。
弱者から奪った金が入った袋を握りしめ、大通りを歩いていたならず者。
仕事中に売春宿でせっせとヤッていた衛兵。
みんな死んだ。
僕は町中に響き渡る悲鳴を楽しんだあと、馬小屋に戻ってスヤスヤと眠るのだった。