噂は本当でしたね
僕は女魔法使いを連れて洞窟の中に入っていった。
僕は光を出す魔法を使えないが、小さな浮遊する光を魔法使いに作らせたので夜の暗い洞窟の中も進んでいける。
奥に進むと、案の定6匹のゴブリンたちが寝ていた。
ゆっくりと近づいていく。
しかし、
スキルで姿を消していても足音は聞こえるし、魔法で作り出した光もゴブリンたちは見ることが出来る。
ゴブリンたちはすぐさま目を覚まし、辺りを警戒し始めた。
「もう目隠しを取っていいですよ」
震えながら連れてこられた女魔法使いは、すぐに目隠しを外した。
目の前には、目を光らせて動き回るゴブリンたち。
何が何だか分からないといった表情だ。
僕は教えてあげることにした。
「聞いたことありますか? ゴブリンたちって男はすぐに殺すんですが、女は殺さずに生かしたまま巣穴に運んで種の繁栄に使うらしいんです。 男の僕はいつもこん棒で殴られていたので噂の半分は真実ですね。 これで女のあなたがゴブリンたちに犯されれば、晴れて噂が真実であると証明されるんです!」
「なっ……」
「じゃあ、頑張ってくださいね!」
僕は女魔法使いをゴブリンたちの前に投げ出した。
僕が触れている間はスキル<死神の黒衣>によって魔法使いは不可視化されていた。
しかし、ゴブリンたちの前に倒れこんだ今の魔法使いは、ちゃんとゴブリンたちにも見ることができる。
最初、ゴブリンたちはいきなり現れた女に警戒していたが、すぐに笑みを浮かべながら女を取り囲み、押さえつけ、服を引き千切った。
悲鳴を上げ助けを求める女魔法使い、ゴブリンたちは楽しそうに回していった。
逃げることなんてできない、何匹ものゴブリンに押さえつけられているのだ。
鍛えて抜かれた戦士ならともかく、魔法使いの女に振りほどくことなんてできない。
ゴブリンたちはなかなか賢く、女魔法使いの口に布を詰め込み魔法を唱えれないようにしていた。
冒険者と戦っている間に生まれたゴブリンたちの知恵……僕は不覚にも感心してしまった。
「グルルルルッ!」
騒ぎを聞きつけたのか、洞窟の奥から普通のゴブリンの2倍の体格はあるゴブリン……キングゴブリンが姿を現した。
女魔法使いに馬乗りになっていたゴブリンは王の登場に気づくと、すぐに特等席を譲り渡した。
……あれは……凶悪ですね。
キングゴブリンは女魔法使いに何度も腰を振り下ろす。
その度に洞窟にこだます言葉になっていない悲鳴。
その悲鳴は朝日が昇るまで続いたが、最後の最後で突然とまった。
僕は魔法使いの意識が途切れたのを確認し、短剣で首を掻き切ってあげた。
僕だって助けられたんだ。
―――意識が途切れ、助けを求める声が出せなくなってから。
僕は、魔法使いが人間からゴブリンの雌ブタに堕ちる寸前のところで救ってあげた。
若干、手遅れ感はあるけど。
……僕って優しいなぁ。
……あれ?
殺さないって約束してたんだっけ?
まぁ、いいや。
「ふぁ~~~、今日は疲れたから馬小屋に戻ってひと眠りすることにしよっと。 続きは起きてからですね」
ずっと僕を苦しめてきた勇者パーティーの3人はけっこうアッサリ死んじゃったからなぁ。
どうやって残りの奴を殺ってあげましょうか?
僕は歩きながらポケットから冒険者カードを取り出し、ステータス更新をした。
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名前:カルマ
職業:死神
攻力: ――――
体力: ――――
物耐: ――――
敏速: ――――
魔力: ――――
魔耐: ――――
スキル:
<幻影化+1>
相手の攻撃はすべて体をすり抜ける
壁抜けもできるようになる
<死神の黒衣>
任意の時間、姿を見えなくすることが出来る
<死神の誘い>
傷を負わせた相手を殺す
<死神の瞬歩>
瞬間移動できる
<死の不可逆性>
スキルを使用している間、術者の半径1キロ以内で発動した回復魔法の効果を無効化する
<奪生の快楽>
殺害をやめれなくなる
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スキルが強化されてる……。
壁抜けもできるようになったのか。
これで、家の中にいる連中も簡単に殺ることが出来ますね。
冒険者カードを見つめる僕の顔は狂気に満ちていた。
「……今夜は楽しくなりそうです」