教皇の最後
「まだ息があるようだな……最後はわたしがとどめを刺してやる」
教皇はゆっくりと玉座から立ち上がり、懐から短剣を取り出して僕の方へ向かってきた。
僕の名前を叫ぶエミリアの声がぼんやりと聞こえてくる。
体をエミリアが揺さぶった。
視界はグラグラ揺れているが、教皇が近づいてくるのが見える。
瞬間移動して教皇を……
そう思っても、意識がもうろうとしてうまくスキルを使えない。
「カルマさん、カルマさん!」
「奴隷の少女よ、お前もコイツの後に殺してやるからな。 せめて一緒に逝くがいい」
教皇は短剣を、僕の頭の上で振りかぶった。
「カルマさんッ!!」
突如、エミリアのポケットが白く光り輝いた。
ロウソクの灯る薄暗い大聖堂の中で、まばゆい光が煌めく。
僕は……この光を知っていた。
「この光は……いかん!」
教皇は光の正体に気づくと、すぐに短剣を振り抜いた。
―――が
「危ない所でしたね」
僕の傷はすっかりなくなっていた。
僕は教皇の手首を切って短剣を回避した。
宙に舞う教皇の手首と短剣。
そしてすぐに、教皇の胴体を左上から右下に切り裂いた。
「グァァァァァァァァァァァァァァっ!」
「最後に言う事はありませんか?」
僕は教皇の眉間に剣先を突き立てた。
痛みに苦しむ教皇は、僕を睨みながら言った。
「た……たとえお前が何人ヒトを殺そうと、世界は良くならない。 世界を救えるのは私だけだ!」
「そうですね、僕一人がどうこうしようと世界は変わらないでしょう。 僕は、僕の周りの世界だけを救います」
僕は教皇を真っ二つに切り裂いた。
教皇が絶命したのを確認したあと、エミリアの方を振り向いた。
エミリアは、驚いた顔でこちらを見ている。
「ありがとう、エミリア。 僕を助けてくれて」
「どうして傷が……。 わたし、何もしてない……」
「ポケットの中を見てください」
エミリアは、自分のポケットに手を入れ、1枚のカードを取り出した。
エミリアの職業カード。
あの時の光は、エミリアの職業が変わるステータス更新の光だったのだ。
「すごいですね、この土壇場で職業が変わるなんて。 まるで神の奇跡です」
「……神の奇跡」
「とりあえず、ここから一刻も早く逃げましょうか」
「うん」
僕とエミリアは手をつなぎながら、月明かりに照らされた夜道を歩くのだった。
本当に申し訳ございませんでした。
ストックもなしにノホホンと投稿したらいつの間にかランキングに載ってて……。
(いや、ランキングに載れたことは普通にうれしかったです)
これからは他の作者さんの小説を読んで文章力をつけながら、投稿が止まっていた底辺作品をゆっくり投稿していくと同時に、ストレスフリーの新作のプロットを練ろうと思います。
今度はちゃんとストックを貯めよう……
読者の皆さん、本当にすみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ_(._.)_