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巡回中の出来事


 エルザさんの話によると、世界を死で埋め尽くす死神がこの世界に現れ、今ちょうど『アルムス』に潜伏しているらしい。

 数日前に町で起きた大虐殺も、どうやら死神がやったのではないか……という事らしい。


 というわけで、上級冒険者の僕たちには町の巡回をしてもらって市民の安全を守ると同時に、死神らしき人物を見たら報告して欲しいとのことだ。


 ……なるほど。

 あまり下手なことは出来ないですね。


 巡回は、冒険者ごとに時間と場所が決まっていて、仮にその時間に僕が持ち場を離れて殺人をすれば、怪しまれてしまうことになる。


 時間外はと言うと、



「ブペッ……こ、この『魚のパイ包み』とやら、なかなかの威力を持っているな」


「……そうですね」


「……おいしいよ」



 とまぁ、こんな感じに僕とエミリアの楽しい一時に、エルザが割って入ってくる。


 スキル<奪生の快楽>のせいで殺人衝動が止まらないが、これじゃ誰も殺ることが出来ない。

 ストレスが溜まっていく。








 


 ドス―――



「おっと、すみません。 ぶつかってしまいました」



 町の大通りを巡回していると、変な男にぶつかった。

 腰に剣をぶら下げているからたぶん、冒険者か何かだろう。

 ぶつかった男は、素直に謝ってきた。



「いえいえ、こちらこそすみません」


「おや、そちらのお嬢さんとても可愛らしいですね。 お名前はなんて言うんですか?」


「……エミリア」



 エミリアは僕の後ろに隠れて、小さな声で言った。


 なんだこいつは?

 エミリアを口説こうとしているんですか?

 僕はいま、気がたっているんです。

 ぶち殺しますよ。



「エミリアちゃんですか、可愛いですねぇ。 わたしの名前はマルク。 そうだ! 今から一緒に昼食でも?」


「すみません、マルクさん。 いま、仕事中なので」



 なんなら死神の仕事も入れますが……



「そうですか、残念ですね……またいつか会った時に」



 そう言って、マルクは手を振って去っていった。

 










 そんなこんなで、死神(自分)を倒すための巡回をすること3日目。


 今日は、エミリアとエルザ2人で買い物に行くらしい。

 僕も一緒に行くといったが、ものすごい勢いで拒否された。

 ちょっと……いや、かなり悲しい。


 久しぶりに町を1人でブラブラして、悪い奴らでも殺りましょうか……。


 八つ当たりも兼ねて、僕は1人寂しく獲物を探し求めて町の中を歩くのだった。


 



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