暗闇の中の大地溝帯
暗い 暗い 痛い 苦しい
大量に薬を飲み意識が混濁しているが、息苦しさと吐き気と割れそうな頭痛は感じる
高層ビルから飛び降り意識を失うが、地面と衝突した瞬間文字通り破裂するような痛みで我に返る
首を吊り徐々に遠のく意識の中感じる僅かばかりの息苦しさ
人が去っていく痛み 悲しみ 絶望 怒り
苦しい 苦しい 苦しい 悲しい
「…………」
八来が息苦しさに目を開けると、目の前は真っ暗で何も見えない。そして顔面にやたらと弾力のある球体が二つ押し付けられていた。
まだ悪い夢を見ているのだろうか?と思っていたら
「牛丼………お~もりで……おかわりください~」
頭の上から聴き覚えのある声がする。ついでにこの寝言も聞き覚えがあった。
(雛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!)
今すぐ怒鳴りたいが、体は雛の腕にがっちりホールドされ柔らかい山脈に押し付けられてしまっている。
はて、どうしたものかと考える間もなく体が動いていた。横向きの体をしがみついてくる雛ごと仰向けにし上半身を起こす。腰に両足を絡ませて後ろに勢いよく倒して、雛の腕の拘束と弾力性抜群のFカップメロンボールから逃れた。
「………………おい、コラ、なにしやが……」
声を上げようとした八来の口がぽかんと空いたまま固まった。
雛は座り込んだまま俯き目を覚まさない。雛の体勢よりも何よりも八来は彼女の服装に驚いた。
巷にはやれフリルのパジャマだの動物パジャマにベビードール等可愛らしいパジャマが溢れている。なのに目の前の女は何故、赤襦袢を着ているのか!?
しかもサラシを巻いていないので、肌色の巨大な山脈が開けた胸元からこぼれんばかりに主張しまくっている。 山頂はギリギリ見えていないが、これはけしから……いやはしたない!
かたやボクサーパンツ一丁の中年、かたやどこか色っぽい赤襦袢の少女 (※成人済み)が一つベッドの上。傍から見るとすごく危ない光景である。
「雛、俺が男卒業してるのをありがたく思え」
小声でつぶやいた後、深呼吸を一つ。枕元の携帯電話で現在時刻を確認すると腹の底から大声で吠えた。
「深夜の二時に何してんだ!!!自分の部屋で寝ろ、このアホがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぴゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
驚いて目を開け、勢いで後ろにひっくり返る雛。その胸の巨大な果実がぶるんと震えるのを見て八来は密かにネットでちゃんとしたパジャマを買ってやろうと心に誓った。
余談だがこの後、雛は下着はサラシと白ふんどしのみという事実が発覚しパソ子が急いで下着を追加注文。
品物が届いたら届いたで下着の付け方がわからない雛の為にパソ子がブラジャーの付け方講座をしてくれたりと、この家に女性型のハウスコンピューターを付けてくれた天照に少しだけ感謝した八来であった。
途中、あれでこれでイヤンばかーんですいません<(_ _)>