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~幕間~ どこかの地下室にて

「以上がこれから俺様達が監視する御二人でございまーす♪」


薄暗い部屋の中で妙に明るく高い男の声が響く。

部屋の中央には修道女を模した女、もとい『PC-NH-21 シスター型』がスクリーンをいくつも展開させていた。そのどれもが八来忠継と八塩雛が紛ツ神『大蝦蟇』や『自来也』と戦闘している映像を映している。


「ようやく 【八岐大蛇】 の紛ツ神が動き出しましたか」


先程の明るい声とは違い、落ち着いた男の声が響く。


「そうそう、やーっとだよ坊ちゃん!あの八塩ちゃんが上京するまでが長かったなー」


明るい声に「坊ちゃん」と呼ばれた青年は眼鏡のブリッジを押し上げて雛の戦闘の映像を再度見る。


「『あの』八塩家の長女ですか。今後の成長に期待……というところでしょうか。ねぇ、リーダー?」


「そういうことー。ま、俺様達であたたかーく見守っていきましょ?」


明るい声の主、リーダーと呼ばれた男は口の端でニヤリと笑った。


「そうだね~僕たちで~あったかぁ~く見守っていこうね~?待ちに待った~八来さんの復活だもんね~。あ、雛ちゃんは~『若』くんと~年が近いからお友達になってくれたら~うれしいな~」


酷く間延びした男の声に隣にいた少年が大きなため息を漏らした後に 「黙ってくださいませんか?その暑苦しい胸毛を一本一本丁寧にピンセットで抜きますよ」 と息継ぎなしに一息で言い切った。


「『(なる)』ぅぅぅ~『(わか)』が今日も辛辣なんだけどぉ~」


『鳴』と呼ばれた男は大きく舌打ちすると半泣きの『(さく)』を睨み付ける。


「いい年こいて泣くな『裂』、うざったい」


「うえぇぇ~んっ!」


「『(かげ)』、他の連中はいつ戻る?」


恒例と化している漫才を無視し、リーダーは坊ちゃんこと『影』に声を掛ける。


「うちのクソ下僕もとい『(くろ)』は現在任務中で明日には戻る予定です。『(ふせ)』も同じく任務中で明後日には連絡できるかと。『(ほのお)』はまだ蝦夷で修業中ですが、一か月以内には戻るそうです。『(つち)』は隊の任務で紛ツ神の討伐に出ています」


「了解。『黒』には『影』が今回の任務について伝えてくれ。他の連中には俺様から伝えておく」


リーダーは奥の椅子にどっかと腰を下ろし腕を組んでふんぞり返って映像を見る。


「『自来也』と『八岐大蛇』の紛ツ神、揃いも揃って新種ときたものだ」


クックッと喉の奥で笑いながら、リーダーは映像の中の自来也と八来を指差す。


「人の意識を保ったまま取り込んで操るタイプの紛ツ神、そして八来の様に完全同化し紛ツ神の能力を『人』が操っているというタイプの紛ツ神。今までいなかった新しいタイプだ」


紛ツ神はあくまで人や妖怪、神を模したガラクタが負の感情などにより動き出す妖だ。それに人を組み合わせた上に八来の様に共存もしくは紛いツ神が人を操るなど前代未聞だ。


「さぁーて、楽しくなってきたなぁ」


映像の光に照らされたリーダーの口の端は笑みを形作り、蛇の様な細長い瞳孔を持つ金色の瞳は八来と雛の闘う姿を暫く追い続けていた。


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