<6>
「ほれ、クラッドや。これももっていきんしゃい。きーつけていってくるんよ」
布の服(ランクF)、布のズボン(F)、布の帽子(F)、竹の弓(F)を装備し、ばーちゃんから乾し肉を受け取る。
もちろん長袖、長ズボンだ。森の中は蟲がこわいからねー。
「ありがとう、ばーちゃん。じゃぁ、いってきまーす」
「ほほほ、じじーの後ろをしっかりついてくるんじゃぞ。はぐれると危ないからのぉ」
お揃いの布装備に身を包んだじーちゃんとの森探検がスタートする。
森の中は本当に樹海といった感じだった。うっそうと生い茂った木々は光を遮り、薄暗い。
足元は凹凸がひどく、じーちゃんの後ろについていくだけでも一苦労だった。
もちろん、じーちゃんも加減してゆっくりと歩いてくれているとは思うが、つらいもんはつらいのだ。
これは体力も付けないと異世界じゃ生き延びれねーなー、などと思いながら進んでいくとじーちゃんが突然立ち止まり、弓を構えた。かと思うと、矢が飛び立ち、遠くから、きゃぴーと言った泣き声が聞こえた。
「一匹目じゃ。獲物が居たのが見えたかのぉ?」
じーちゃんは僕のほうを見るが、おとなしく首を横に振る。
獲物どころか、矢を打ち出す瞬間が見えていたかすら怪しかった。
「ほほほ、そうじゃろーのぉ。まぁ、はじめはそんなもんじゃ。じじーの動きをしっかり見とくんじゃぞ」
その日は、じーちゃんがうさぎに似た獲物、スモールラビッドを5匹狩ったが、その姿を僕の目が捉えることはなかった。
翌日以降、午前は体力づくりのために家の前を走り、午後はじいちゃんの狩りについていく。
じーちゃんが狩りを休むときは、ずっと的当てになった。
いつまでも、じーちゃんに頼ってばかりだと申し訳ないからな。一刻も早く狩りが出来るようにならねば。