表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界村長:目標は生き残ること。神は信じない  作者: 薄味メロン
― ダンジョンのある町 ―
68/73

<67>

一度は書き上げたのですが、ここから先を変更します。

あらすじは変えないので、先に読んで頂いた方は、そのつもりでお願いします。

最後まで書き上げましたので、本日21時までにポンポンポンとアップします。

 畑が成功してから、1ヶ月。


 王都方面へ、塩や食料の買出しに行っていたハウン姉が、町に戻ってきた。


 久しぶりの再会だというのに、その表情はさえない。しかし、報告を受けないわけにもいかないので、話をするように促した。


「はい、塩につきましては、無事に予定数を超える量を確保し、倉庫へと運び込みました。

 しかしながら、食料に関しましては、その一切を入手することが叶いませんでした。

 私の力不足による結果となってしまい、誠に申し訳ありません」


 食料に関しては、畑が成功したお陰で必要なくなったのだが、余剰分は魔法で保管すればいいや、と思っていたため、ハウン姉への命令取り消しは行わなかった。


 結果からすれば、何一つ問題は無いのだが、畑が成功しなかった可能性も十分にあったため、追求せずに、そっか、まぁ、残念だったけど、成功したんだし問題ないよ、と言う訳にもいかない。


「理由を聞かせてもらえるか?」


「勿論です。

 結論から申しますと、国全体で食料品の価格が高騰、それに目を付けた商人が買いあさり市場が混乱。ここ最近ではその一切が市場に流れておりません」


 ハウン姉曰く、僕達の町を襲った水不足は、この辺だけの問題ではなく、国全体が水不足に陥っているらしい。そのため、今期の収穫は絶望的であり、王都の食料品店ですら、品物が入ってこない状況だそうだ。


「なるほどな、事情は理解した。

 ハウン姉の仕事は物やお金を的確に動かすことだ。その物が無いとすれば、それはハウン姉の責任ではない。

 よって処罰は一切を行わないことにする」


「……畏まりました。寛大な処置をありがとうございます」


 ハウン姉は深々と御辞儀をした。


「堅苦しいやりとりはここまでだな。

 ジュリ、議事録の筆記を一旦中止してくれ。それと、ソフィアを呼んできてくれるか? 今後の対策を考えないといけないからな」


「うん、まかせて。……けど、ソフィアちゃんって今何処にいるの?」


 町が大きくなった事で、会議や提出書類、訪問者の増加など、僕の仕事は多忙を極める。そしてメイド兼参謀であるソフィアや、メイド兼秘書であるジュリも仕事に振り回されており、補佐兼財務担当のハウン姉さんほどでは無いにせよ、同じ部屋に居ないことが多くなった。そのため、その所在を探すのも一苦労なのだ。


 ……まぁ、僕に限っては、例外だけど。


「ちょっとまってくれるか? ……あー、4番すずめの所だから、食料庫だな。恐らくハウン姉が到着したと聞いて、早速食材の確認に行ったんだろ。

 この様子なら、早いうちにここに来そうだな。

 ジュリ、呼びに行かなくても良さそうだ。ハウン姉のお土産でお茶を飲みながら待つとしよう」


「はーい。……わ、綺麗な焼き菓子。

 私、紅茶いれてくるね」


 そして流れるように容易された紅茶とお菓子に手を伸ばしていると、5分ほどでソフィアが到着した。


「美味しそうな物を食べているようだね。ボクにも頂けるとうれしいな」


 勿論ソフィアも、流れるようにお菓子を頬張る。


「よし、それじゃぁ、全員が集まったところで今後の活動方針を決めようと思う。食べながらで良いから、みんなの意見を聞かせてくれ。

 まず、情報の共有からだが、ハウン姉からの報告によると、国内の畑は、水不足により、全滅に近い状態だそうだ。

 ソフィア、倉庫の状況と畑の状況の報告を頼む」


「んぐ!!」


 僕が話を振れば、ちょっと待って欲しいと、ソフィアに目で訴えられた。そして、暖かい紅茶を口に含み、口いっぱいに詰まっていたクッキーをお腹の中に流し込む。


「……あぁ、待たせてしまって申し訳ない。ハウン財務官のお土産が美味しくてね。ボクとしたことが、少々みっともなかったようだ。

 えっと、それで、倉庫と畑だったはずだね。

 まず、倉庫の方なんだが、倉庫は、食料が溢れかえっている状況だね。本日運び込まれた塩もあわせれば、半年程度なら収穫がゼロでも村人全員が生き延びれると考えるよ。

 畑も村長が提案した技術が普及し、収穫量も増加しているんだ。このままだと、次の収穫時に、現在の倉庫は一杯になると予測できるね」


「なるほど、つまりは、うちには食料が大量にあり、今後、不足する確率は限りなく低い。そして、市場の食料価格は天井知らずと言ったところか。

 状況把握は以上だな、それじゃぁ、各自の意見を聞かせてくれ」


 そういって周囲を見渡せば、いつも通りの順番で意見が飛んでくる。


「財務担当の私と致しましては、余剰食料を売却し、道路や橋、河川の整備など、公共事業を積極的に進めるべきかと思います。

 特に道路に関しては、整備が追いついていない状況ですので」


「ボクは、食料を溜め込んで、周囲から人を呼び込むのが良いと進言させてもらうよ。

 余剰分の食料を売却しても、大手の商人や貴族達が購入していくだけだろうからね。それなら、町の発展のために、食べ物が得られない人達に来てもらえば良いと考えるよ。

 ボク達は不足しがちな人手を入手出来る。来る人達は、食べ物を食べることが出来る。みんなが得する作戦な訳だ」


「私は余剰食糧を売却して、その資金で家を建てるのが良いと思うの。やっぱり、お兄ちゃんが治める町なんだから、大きくなくちゃいけないしね。家はいくつあっても足りないよ」


 そして、三者三様の意見を自分の中で整理し、纏め上げていく。いつものやりとりだ。


「町に暮らす者を増やせば、その分だけ収入が増え、長期的に見れば、道路整備費も家の建設費も出せるだろう。したがって、飢えそうな者を町に呼び込む作戦にする。問題はあるだろうか?」


「大丈夫だと思われます」


「そうだね。問題はないよ」


「うん、大丈夫」


 そして、大筋の活動方針が決まり、移住者受け入れ作戦がスタートした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ