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異世界村長:目標は生き残ること。神は信じない  作者: 薄味メロン
― ダンジョンのある町 ―
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<66>

 畑を作り出してから5日。

 畝作りも順調に進み、種まきの段階にたどり着いた。


 本当なら、本格的な土作りもしたかったのだが、知識不足により断念。一応、腐葉土っぽい物を森から運び、畑に混ぜてみたが、良かったのか悪かったのか……。ちなみに、骨を砕いて混ぜてみようかとも思ったが、それは来期ってことにした。


「今日はサツマイモとジャガイモを植える。

 どちらも事前にこのプラン――じゃなかった、この個別容器で発芽させてある。

 こうすることで、雑草に負けて枯れる心配が無いため、効率的に育てることが出来る。……はずだ。

 それじゃぁ、畝ごとに一定の間隔で植えていって欲しい。繰り返すが、植える幅は一定だからな」


 一応は距離を一定にするための道具も考えたのだが、そこまで厳密にする必要も無いだろうと考え、目視でそれなりの距離にってことにして作業を行った。


 その後も、麦やかぼちゃなど、腹持ちが良いと思うものを中心に植えていった。



 作業に関わった人達は皆一様に、植える量が少なすぎるだとか、この分だと収穫量はスズメの涙ほどだ、と呟いているものの、貴族に含まれる町長(ぼく)に反対する事が出来ず、粛々と作業を行ってくれた。


 それでもやはり不満は溜まっているようで、そんな状態からさらに間引きの作業を行った事により、町長は畑をする気が無いとの噂が立った。

 中には、貴族に対する恐怖を押しのけて、もう少し植えても良いのではないかと進言する人も出てきたほどだ。


 ぶっちゃけ、内心ハラハラだったのだが、そんな彼等の意見も植えてから1ヶ月を過ぎる頃には、鳴りを潜めることになる。


 どの畝も葉が青々と茂り、発育の良さが一目でわかるように成長してくれたのだ。


 他の畑と比べて見れば一目瞭然で、芋類に限っては、茎が倍以上に伸び、お互いに絡み付いて、ジャングルのようになっている。

 畑の構造自体も、整然と並べてあるため草むしりや水やりもしやすいと評判が良かった。


 そこからさらに2ヶ月が経過し、ジャガイモの収穫を迎える頃には、住民達の声が、賛辞一色になった。


「おにーちゃーん、ほらー、こんなおっきいの出てきたよー」


 2つ隣の畝で収穫しているジュリの手には、日本なら2Lと評価されるであろうジャガイモが握られている。


「さすがはボクのご主人様だね。

 この分だと、他の畑の二倍程度の収穫量になるんじゃないのかい?」


 詳しく調べるつもりは無いが、ソフィアの言うように、目視だけでも差がハッキリと分かるだけの収穫量を獲ることができた。


 味についても問題は無かった。

 むしろ、栄養が十分に行き渡ったお陰なのか、他の畑で取れた物よりも美味しいといった評価だ。


 結局はどの方法がうまく作用したのかはわからないが、良い結果が出てくれた。

 後は、本業の人達がこの方法をベースに色々試行錯誤をしてくれると思う。


 こうして、水不足が一転し、町の食料庫を増築する事態になった。 



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