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異世界村長:目標は生き残ること。神は信じない  作者: 薄味メロン
― ダンジョンのある町 ―
66/73

<65>

 水スライムを手に入れた僕達は、村長代理を呼び出し、ため池へと向かった。


「それじゃ、放つよー」


 放り込むようにジュリの手から離れ水スライムは、空っぽのため池の中へと落ちていった。


 底までは2メートルくらいあるのだが、粘着質の体のお陰か、落とされたことによるダメージは無い。

 ゆっくりとではあるが、確実にため池の中で動き出した。


「陸上でも問題はなさそうだね。

 それじゃぁ、ボクのほうも入れさせてもらうよ」


 そう言って、ダンジョンで拾って来た魔玉を水スライムの側へと投げ入れた。


 気配か目視かは不明だが、落とされた魔玉に素早く反応した水スライムは、ゆっくりと近づき魔玉に覆いかぶさると、ダンジョン内同様、激しく水を生み出してくれた。


「おぉー、本当に水が出ましたね。

 これでまた畑を再開出来ます」 


 地上でも有効なのか、内心不安ではあったが、感心する相談役の手前、当然の結果だといった雰囲気を出しておいた。


「見て頂いた通り、魔玉を投げ入れてもらえれば水はどんどん湧き出してきます。

 なので、約束どおり、相談役には毎日僕のところから魔玉を持っていって、この池に投げ入れる仕事をお願いします」

「畏まりました。誠心誠意やらせていただきます」


 これで、町の水不足は解消されたと考えて良いと思う。

 そのため、話しは次の段階へと移行する。


「それと、先日話した畑の手伝いの件も、段取りをしておいてください」

「お任せください。水の使用料だと言えば、皆も嫌だとは言わないでしょう」

 

 水不足が解消出来た暁には、町直営の畑を作り、そこの手伝いを集めて欲しいと伝えてあった。


 それから3日後、町で畑に携わる人間の3割が、村のはずれに集まった。


 相談役曰く、自分達の畑の作業もあるため、全員が毎日集まることは不可能であったことから、3つのグループに分けて、交代で集まることにしたらしい。


「皆、今日は良く集まってくれた。

 相談役から話を聞いていると思うが、この場所を僕の直営として畑をすることにした。

 ここで出来た作物は町で半分を保存し、のこりの半分を手伝ってくれた皆に配る予定だ。


 ここで行う畑は、技術開発の意味合いも強い。そのため、見慣れない作業も含まれると思うが、将来の安定のために、皆には頑張って貰いたい。


 それでは、早速だが、畑作りを開始しよう。横一列に並んで、地面深くまで掘り返していくぞ」


 僕やジュリ、ソフィアも含めた全員で一列に並び、一心不乱に地面へと鍬を差し込んでいく。ただそれだけの作業を2時間続けたところで、休憩を挟み、現代技術を披露することにした。


「まずはこのように溝を掘って欲しい。そして、掘り返した土を盛り上げていって貰いたい。

 この溝を掘り終えたら本日の作業は終了だ。それじゃぁ、始めてくれ」


 土で山を作り列にする。つまりは、畝の導入だ。


 専門家じゃないため、なんのために畝を作るのかは知らないが、畑といえば盛り上がった土に作物が埋まっているイメージから作ってみた。


 盛り上がった部分の土は柔らかいから根が育ちやすいとか、水はけとか、今後の作業がし易くなるとか、そんなとこだろう。……たぶん。

 

「畑に溝を掘るなんて聞いたことないんだが、特殊な知識を持つキミのことだ、これもすごい効果が出るんだろうね」

「…………あ、あぁ、収穫までには分かるはずだよ」

「そうか、楽しみにしておくとするよ」


 ……たぶん、意味あることだと思うんだけどな。

 …………何の変化も無かった場合は、既存の技術のすばらしさを知るために行った、って言い訳で良いだろうか?


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