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異世界村長:目標は生き残ること。神は信じない  作者: 薄味メロン
― ダンジョンのある町 ―
64/73

<63>

 採掘人となったミシェルは、翌日から精力的にダンジョンに潜ってくれた。

 そして、料理の苦手な彼は、毎日の様に村唯一の食堂へとその足び、好物であるラビッドベアーのステーキを頬張った。

 

 ステーキはどこの世界にいっても高級品で、それを毎日の様に食べる彼の噂が広がるのに時間は掛からなかった。

 そして、当然、その収入源である採掘人についても、毎日ステーキが食える仕事として世間に浸透していった。

 

 それから半年近く、採掘人の数は40人を超えた。

 それに伴い、魔玉やダンジョン産の素材を扱いたいと、ハウン姉のもとを訪れる人間も増加している。


 家の売却も順調に進み、ダンジョン周りの家までもが、増産を開始したほどだ。


 また、山中腹に住む人々を含めると、村に住む家族が100組を超え、村は町と呼ばれる基準に達し、僕は町長にランクアップしていた。


 

 すべてが順調に進んでいるように見えたある日、僕のもとに村の住民がやってきた。


「町長様、わし等を助けてくだせぇ」


 ガバッと音がしそうなくらいの勢いで頭を下げた彼は、相談役としてダンジョン周辺の町の取りまとめをお願いしている人物だ。


 何があったのかゆっくりと話しを聞いて見ると、どうやら、ここ数ヶ月雨が降っておらず、川から流し込んでいる用水の水が枯れてしまったそうだ。


 幸いと言ってはなんだが、住民の半数以上が生活魔法を使えるため、飲み水には困っていないが、魔法といえど水を無限に出せるわけではなく、畑に回せるだけの水を用意することは出来ていないらしい。


 そのため、今シーズンの実りは絶望的で、町の農家全員への借金とした形で、他の村などから食べ物を買い入れ、分け与えて欲しいそうだ。


 

 事情はわかったが、とりあえずは様子を見ないと判断できないので、畑の区画へと向かったのだが、そこには驚きの光景が広がっていた。


 畑だと思われる土地には、端から端までびっちりと萎れた野菜達が植えられていたのだ。


「相談役の言った通り、水が流れていないのは確認したんだが、それよりもこの野菜達の密集具合はなんだ?」

「……密集具合ですか? 

 私には、一般的な畑の使い方をしているように見受けられるんですが……」

 

 農業について詳しく話を聞いたところによると、耕した地面に所狭しと種をまき、間引きもしないらしい。


 前世で農業をやっていた訳ではないので、山での農業はこれが普通なんだと思っていたのだが、地平でもこれだとすると、どう考えてもおかしい。

 素人考えにしても、栄養が足りなくなるのは目に見えている。


 水不足の解消だけでなく、農業指導も必要なようだ。 

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