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異世界村長:目標は生き残ること。神は信じない  作者: 薄味メロン
― ダンジョンのある町 ―
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<56>

 ダンジョンの入口をジュリの結界石で塞ぎ、魔物の侵攻を食い止めた僕達は、急ぎ、王都へ向かった。


 その目的はもちろん、ギルドとの交渉を進めるためだ。


 ゴブリンの大群のせいで出発が1.5日とほど遅くなってしまったが、もともと王都へは往復1ヶ月近くかかる距離にあるため、1日、2日遅れたところで大きな違いは無い。


 それでも、急ぐくらいはするべきだろうと思った結果、何故か予定通りに出発した場合よりも、2日ほど早く王都に到着してしまった。


 交渉自体も大きなトラブルは無く、ハウン姉達が事前協議で詰めてくれた内容にそのままサインをした。


 決まった内容は、大きく分けて2つ。


 1つ目が、炭を料理ギルドと鍛冶ギルドに一定価格で提供し、それ以外の販売先に関しては、3割り増しで販売すること。


 2つ目が、僕達の村の発展費用として、金貨40枚をギルドが支払うこと。


 正直な話、僕が考えていた物の3倍ほどの金額で、作り手が僕達しかいないとは言え、破格の内容だろう。

 ここまで引き出してくれたハウン姉に、ただ感謝である。


 作り笑いの握手でもって商談を終了した僕たちは、休むまもなく、前金として貰った金貨10枚を手に、そのまま建築ギルドへと向かった。


 建設ギルドでは、村長の証である宝剣と、お金を提示すれば、トントン拍子で、家100軒と炭窯30個の建設が決まった。ちなみに、素材は村の敷地内で取れる物で作ってもらうことにしたので、比較的安く請け負ってもらえた。 


 工事は現場に着き次第行うとの事なので、一足先に村に戻り、工事関係者が戸惑わないように、ダンジョンを木の板で囲み、隠蔽。

 ほどなくして、王都から100人ほどの建築集団が到着し、木の乾燥や移動、地盤整備などなど、すべての分野で魔法を惜しみなく使い、日本では考えられないスピードで、村に次々と家が建てられていった。



 それから半年。


 もともと17軒しかなかった山中腹の村には、炭窯付きの家が30軒立ち並び、草しか生えてなかったダンジョン周辺にも70軒の家が建てられた。


 ダンジョン周辺の家は、ダンジョンから少しばかり距離をとったところに、畑付きの家を40軒、そして、比較的ダンジョンに近い場所は、王都の中心部をまねて、30軒の家を密集させて建てた。


 また、建てている間にも、それぞれ異なった条件で、ハウン姉さんを中心に家の購入者を探してもらっている。


 炭窯付きの家は、原価そのままで、炭作りを覚えることを条件に販売したところ、30個すべてが売り切れた。

 中には、出来上がりを待ちきれずに、村までやってきた者が居たほどだった。


 ダンジョン周辺の畑付きの家に関しては、価格こそ相場通りに設定したものの、2割という安い税率のおかげで、完売とは言わないまでも、順調な売れ筋を見せている。


 ダンジョン周辺に密集させた家なのだが、これに関しては、現在1軒も売却できていない。

 値段設定は、原価の半分に抑えたものの、加えた条件が人々に受け入れられなかったらしい。

 その条件とは、戦闘能力を持ち、有事の際には戦闘に参加する事にしたのだ。


 無論、条件設定した僕としても、そんな条件の物件がすぐに売れるとは、考えていない。


 売れ残り物件を処理すべく、僕は、新しい試みを開始することにした。


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