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 村に襲いくるゴブリンに対し、矢を撃ち続けること30本以上。


 森から飛び出してくるゴブリン共を1匹も漏らさずに、撃ち滅ぼしていると、あるときを境に飛び出してくるゴブリンが居なくなった。


 そうは言っても、敵が全滅したわけではない。

 前方に飛ばしたすずめの目には、しっかりとゴブリン達の姿が映っている。


 どうやら彼らもバカでは無いようで、こちらの矢が届かない位置で隠れ、様子を伺っているようだ。

 さらに、左右に飛ばしていたすずめ達の目にもゴブリンの姿が映る。


 その意味と前方の様子を周囲に伝える。


「敵が前方からの攻撃を諦め、複数個所からの同時攻撃に移った!!

 前20、左10、右30。左から5人、右に移動の伝令を」


 僕の指示を聞き、ハウン姉が村長代理の元へ走る。

 それと同時に僕の言葉を実証するかの様に、20匹、10匹、30匹のゴブリンがそれぞれの方向から飛び出してくる。

 

「ジュリは遠距離の矢を。左右は、1番と2番の結界を発動。攻撃はギリギリまで引き付けろ」


 僕の指示を受けた左右に展開する住民達が、1番、2番と名付けられた石を飛び出してきたゴブリン達の手前に投げた。

 すると、ゴブリン達は、透明な板にでもぶつかったようにはじかれる。


 炎の矢に続いてこの石も、ジュリの付加魔法の効果だ。

 先のゴブリン戦で付与魔法レベルが上がったことにより、ジュリは、物体に結界の魔法を付与できるようになっていた。


 そうは言っても、結界の範囲は石から3メートルの幅でしかなく、透明な壁を作り出す程度の効果でしかない。

 それでも、結界の左側を走るもの、右を走るもの、壁にぶつかり足止めされたものと、ゴブリン達を3つに分かれさせることに成功した。


 左右に分けたゴブリンの数にあわせるように、住民達も左右に分かれ、燃え盛る大きめの炭を手に、敵を待ち構える。

 ほどなくして、柵まで辿り着たゴブリン共に投げつけると、2発の炭を体に受けたゴブリンが光になって消滅した。

 

 炭での攻撃は、追い払うだけの予定で、倒そうと思っていた訳ではないのだが、ゴブリンの炎嫌いは、僕の予想を超えているようだ。


「ジュリ、遠距離は必要なさそうだ。解除して、炎に戻してくれ」

「うん。わかった」


 

 異世界人生最大の危機かと思われた戦いだったが、戦闘開始から1時間もしないうちに、村の周りからゴブリンの姿が消えた。 

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