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<53>

 準備開始から、3時間。全員をふたたび村中央の広場に集めた。

 

 作業完了を宣言し、しばしの休憩を伝えた後、住民全員で、最後の晩餐になるかもしれないスープを飲む。


 本当のことを言えば、作業は完了していなかった。

 ゴブリンが近くまで接近し、これ以上の作業は戦闘に影響を出すと判断した結果だった。


 それでも、最低限のものだけは出来上がっている。その中でも、作戦の生命線とも言える、ここ、村中央広場はなんとか仕上げることが出来た。

 

 周囲は、村はずれから持ってきた柵で四角く三重に囲まれ、中央に立てば、東、西、南、北、すべての方角において、村はずれの森まで見通せる状態だ。


 僕達の村は、家は17軒しか無く、殆どの場所が畑なので、もともと視界は良好だったのだが、念を入れて、数件の家を取り壊した。

 そのおかげで、森から飛び出してくるゴブリンを見落とす心配は無い。


 食事を終え、それぞれが持ち場に着く。


 僕は、ジュリとソフィア、ハウン姉を連れ立って、村入口方面(方角で言えば南側)の柵の前で弓を構えた。


 村正面は、ゴブリン達の進行方向であり、1番の激戦が予想されるのだが、正面の守りに付いたのは、僕達4人だけだ。

 そして、ハウン姉とソフィアは戦力外、ジュリは付与魔法での援護なので、実質、僕1人での防衛と言っても過言ではない。


 そんな正面に比べ、左右に17人ずつ、後方は7人に守ってもらうことにしてある。ちなみに戦えない人達は、中央で矢などの備品補充に回ってもらっていた。

 

 場所の割り振りはすべて僕の指示なので、正面の配置は勿論、自信あっての采配だ。

 その自信の源である矢を森に向けて放つ。


 手元を離れた矢は、自分から飛び込むかのように木々の合間から顔を出した1匹のゴブリンに刺さり、ゴブリンが光となって消えた。


 その光景を見ていた村長代理(ジュンさん)が全員を鼓舞するように声を張り上げる。


「村長が、その武を示された。我らも事に備えるぞ!!」

 

 そんな声に対し、さすが村長だ、などと、僕を賞賛する声が広場を取り巻く。


 ゴブリンを1発で仕留めた矢は、ジュリに火の魔法を付与して貰った物だ。


 9匹目のゴブリンと対峙した時、足止めのつもりで放った炎によってゴブリンが消滅したことから、もしかして、と思ったのだが、どうやらゴブリンは火が苦手なようだ。


 その後も、すずめの目を通じてタイミングを計り、次々と飛び出してくるゴブリンに矢を放っていった。

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