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 ゴブリン達との戦闘から1時間ほど経過した頃、僕達の姿は、村の広場にあった。

 就任式のときと同様、僕の前には村人全員が集まっている。


 しかし、その雰囲気は、あの時の真逆と言ってほど、沈みきっていた。


「すでに知っていると思うが、この村にゴブリンの大群が向かってきている。敵の数は、この村の人口を超える可能性すらある」


 事前に通知していたとはいえ、改めて話される僕の言葉に、村全体が息を呑む。

 

「だが、安心して欲しい。僕達は、この村を救う手段を持ち合わせている。みなの力を合わせれば、必ずや敵を撃退出来る。その手段を今から説明しよう」



 事の起こりは、1時間ほど前。魔玉で無駄に増やしたすずめ達を散開させた事に端を発する。

 

 召還獣の種類が増えなかったことに落胆を覚えながらも、折角の機会だからと、すべてのすずめを村の周囲へと飛ばした。

 その結果、山の麓で、ゴブリン達の姿を発見したのである。


 もともと、ジュリと倒したゴブリン以外にも居ると思っての行動だったので、見つけたとこは予想の範囲内と言えた。


 しかし、その数が問題だった。


 ざっと見ただけでも100匹は居る。

 そして、全員が、何かに操られるかの様に、僕達の村がある方角へ向けて歩みを進めていた。


 ゴブリン達の姿を確認した僕達は、即座に村へと帰宅。手分けして状況説明と助力を求め、村人全員を広場に集めた。

  

 作戦の大筋を話したところ、全員の協力が得られることになり、早速とばかりに指示を飛ばす。

 

「まずは、足の速い者数人で、僕の家から炭を出来る限り持ってきて欲しい。

 力のある者は、村周りの柵を引き抜いて、広場周りを囲ってくれ。それ以外の者は石集めだ。

 時間は限られているので、出来る限りの行動を求める。まずは、担当する仕事ごとに分かれてくれ」 


 そんな言葉で話を締めくくると、仕事の割り振りを村長代理(ジュンさん)に任せ、ジュリ、ソフィア、ハウン姉を呼び寄せる。

  

「ソフィア、試供品の筆と墨、それから薪も出してくれ」

「了解したよ」

 

 ソフィアから指示通りのものを受け取ると、3人に見守られながら、薪に図を描き込んで行く。使っているものはすべて自作だ。


 筆は毛皮、墨は炭窯の壁に付着した煤をそれぞれ加工したものだ。


 一応、この国にも文字を書く習慣はあるのだが、紙、墨、筆、すべてが高級品だった。

 そこで、材料も揃うので、作ったというわけだ。

 

「……こんなもんだな」


 村の上空にすずめを飛ばし、見たままの風景を描き出した。


「この村の地図だ。これを用いて、作戦の詳細を伝える」   


 その後も、着実にゴブリンを迎えるための準備を整えていった。

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