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じーちゃんに弓を貰ってからは、毎日練習をした。魔法以上に練習したんだからね。
5年目ともなると、新しい体もだいぶ動かしやすくなっており、日本での生活と同じような周期で動けるようになってきていた。
朝7時に起床し、祖母の手伝いで蛇口魔法を用いて桶に水をため、100円ライター魔法で火をおこす。
ばーちゃんの作った美味しいご飯を食べ、じーちゃんのお見送り。その後はお昼までずっと矢を打ち続け、13時にばーちゃんと簡単なお昼を食べ、弓をうち、19時にじーちゃんとばーちゃんと一緒に、獲れたてのお肉が中心の夜飯を食べ寝る。
おかげさまで、日本時代より規則正しい生活やってます。
ちなみに時間は窓の外に見える太陽や月を鑑定したら分かった。
あ、そうそう。異世界の太陽は3つあったよ。大きな物が1つと、小さな物が2つだね。月は、地球と一緒で1つだけだったんだけど、大きさは比較にならないくらい、こっちの方が大きかったね。……いや、まぁ、だからどうした、って言われれば、どうもしないです、としか返せないんだがな。
そして、とうとう弓が魔法を越えた。
クラッド 5歳 男性
剣 - (Z) 弓12/100 (E) 魔法 10/10 (F) 神託:鑑定3
スキル 命中補正2 生活魔法
鑑定が3になったことで、スキルが表示されるようになった。命中補正は言葉通りだし、生活魔法もそうだからまぁいいだろう。
心配していたEの壁は弓に関してはなかった。剣は触れたことがないので分からないが、やはり魔法は制限がかけられていると考えるのが妥当だろう。
弓がちょーたのしいから別にいいんだけどね、魔法のことなんで。
そして、そろそろ6歳かなって頃に、じーちゃんから、ひと狩り行こうよ、と誘われた。
「いいの? じーちゃん」
「ほほほ、もちろんじゃてぇ。
そろそろ、的だけじゃ物足りなくなってきたころじゃろ? ついてくるか?」
「うん。行く!!」
外は危ないからと、外に出してもらえなかったが、6年目にしてようやく外に出るかと聞かれた。
そりゃぁ、出るでしょ!!
まぁ、小さな体だから、家の中でも退屈はしなかったけども、出て良いなら出ますよ。
「クラッド。お前さんの新しい弓じゃ、狩りにはこっちを使うとええ」
僕の答えに満足そうに微笑んだじーちゃんは、手に持っていた弓を差し出してきた。
今使っている弓の1.2倍ほどの大きさの弓だ。とは言え、じーちゃんが使っている弓の半分ほどしかないのだが……。
とりあえず、鑑定してみた。
・竹の弓 ランクF 説明:竹で作られた弓。耐久性は低いが、弱い力で射ることが出来る子供用。
ランクがFということで、今までの木より性能が一段上なのだろう。つい先日まで弓技術のランクがFだった事を考えれば、妥当な物だと思う。
「ありがとう、じーちゃん。ちょっと、練習してきていい?」
「まぁ、待つんじゃ、午前中は家の前で練習するぞえ。その弓で玄関は狭いじゃろうてぇ」
そういう訳で、外出許可(保護者同行時)と竹の弓を手に入れた。