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<45>

 翌朝、村とは別方向の町を訪ねる予定だと話すハウン姉と別れ、村へと向かう。


 ソフィアの足に併せていたこともあり、行きと比べれば少し日数が必要だったが、盗賊や魔物に出会うこともなく、無事に村へとたどり着いた。


 村入り口で、村長代理のジュンさんの気配を探ると、彼は村の中ではなく、森の中にいるらしい。

 久しぶりの村に入ることもなく、僕達は森の中へと入っていった。


 程なくして、きこり仕事の最中だった彼に近づき、僕の村長就任と税率の引き下げを伝える。

 そして、ついでとばかりにジュンさんに村長代理の継続を願い出たところ、あっさりと了承してくれた。


 あまりにもあっさりとし過ぎていたため、尋ねて見ると、どうやら僕達が村を出る際に、それとなくハウン姉から聞かされていたらしい。

 根回しの良さはさすが商人といったところか。


 ちなみにだが、税率は2割にした。その内訳は、国に収める税率が1割で、僕の取り分が残りの1割である。

 本当ならば僕の取り分などいらないのだが、知識の豊富なソフィアのすすめもあり、村の整備のために1割は貰うことにした。

 税率の基準は4割程度らしく、2割では安い分類に入るらしいので問題は無いだろう。



 その後、村長就任式を提案されたが、旅疲れを理由に1週間待ってもらうことにして、愛しの我が家へとたどり着いた。


 ジュリが入れてくれたお茶で旅の疲れを癒しつつ、同じように和んでいたソフィアに村の感想を聞く。


 村長の奴隷として購入されたものの、いざたどり着いてみたら中に入らずとも全体を見渡せるような小さな村だ。

 さぞがっかりしているだろうと思っての質問だったのだが、意外なことに、ソフィアに眼には、高評価に映ったようだ。


「悪くない村だと思うよ。恥ずかしながら、もう少し寂れていると思っていたんだ。キミが買い取るまで税率7割だったって聞いてたしね」

「まぁ、たしかにな。……けど、村の規模についてはどうなんだ? 王都となんて比べるまでもないだろ?」

「規模に関しては気にしてないさ。キミが長になるんだ、次第に人が集まり、いつのまにか王都に負けない都市になっているよ」

「ははは、王都に負けないとはまた、大きく出たな」

「目標は大きい方が良いからね。それにキミもその予定なのだろ?

 我がご主人様」


 ハウン姉も含めた3人には、炭の話の折に、村を大きくして豊かにしたいと、村長として宣言していた。

 決心したキッカケはジュリの青い腕輪なのだが、今回の騒動で、権力と金の強さを知ったことも強く影響している。


 もし、あの技術石が無かったら

 

 もし、港町の伯爵が現れなかったら


 もし、会長に会える人間が居なかったら


 金。見せ掛けの権力。人脈。

 どれか1つでも欠けていたら、村は今でも多額の税金を絞り取られていただろう。



 世の中は不平等で、神など居ない。

 

 山奥で狩りをしているだけでは、周りの人は救えない。


 ただ神に祈ってるだけではダメなのだ。

 


 炭を足がかりに、まずは金から着手しようと思う。

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