表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/73

<3>

 僕は4歳になった。


 2つの魔法は、じーちゃんに習い始めてから3ヶ月ほどで出来るようになった。どうやら、滑舌はあまり関係ないようで、詠唱内容も厳密な問題ないみたいだ。

 そして、水と火の担当を僕がやると言いしたら、2人はすごく喜んでくれた。


 初めの頃は水量がないことや、薪に火が燃え移らないなどあったが、半年ほど、毎日朝昼晩と水と火を使い続けたおかげで、今では息を吸うように使うことが出来る。


 ステータスを確認してみると、努力を証明するかのように魔法がFになっていた。じいちゃんやばーちゃんと同じレベルにまでなったらしい。


 じーちゃんも魔法に関しては免許皆伝、もう教えることはないとほくほく顔である。


 僕自身もこれ以上の成長はないと感じている。なぜかと言われればステータスを見てもらえば分かると思う。


・クラッド 3歳 男性 

 剣 - (Z)  弓0/1 (G) 魔法 10/10 (F) 神託:鑑定2


 ある日を境に人物の鑑定結果に変化があった。それまではアルファベット評価だったのが、数値とアルファベットに変化した。


 注意して観察してみると、魔法を使い続けるにつれ、3/5(G)が4/5(G)になり、4/5(G)の次が1/10(F) だった。


 どうやら分子、分母の表記であり、1になったらランクアップのようだ。

 なんともゲームチックな表記である。


 そして、問題の魔法だが、10/10(F)で本来なら(E)になるべきところから変動しなくなった。


 FとEには壁があるのかと、その壁を突破する方法を模索していたが、3歳にはお手上げだった。じーちゃんの鑑定結果もFで10/10なので、65歳でもお手上げのようだ。

 つまり、このまま使い続けてもEにはならないらしい。ここが、平民と貴族の境目なのかもしれない。


 ようするに、おい、神。チートくれよ。限界突破のチートくらいくれよ!! そういう話である。

 まぁ、神なんてどうせそんなもんだってことは2年前から痛いほどに分かっているため、いまさらであるのだが……。


 かといって、いつまでも派手な魔法が出来ないからと、嘆いてるわけにはいかないので、じーちゃんに弓を習うことにした。


 魔法はかっこ良いんだが、100円ライターと蛇口のみを駆使しても、この異世界で生きていけるとは思えないし。

 それに弓の方が魔法よりかっこいいしな。


 ……べ、べつに負け惜しみとかじゃないんだからね!!

 

「じーちゃん、ゆみ、おしえてよ」

「ほほほ、クラッド。そうじゃのぅ、そろそろ教えてもよいころかのぅ。よし、明日からはじめようかのぉ」

「うん、ありがとう。じーちゃん」


 そういうことになった。



 翌朝、布団からゆっくり体を起すと、じーちゃんが近づいてくる。


「クラッド起きたかのぅ。ほれ、お前さんの弓じゃ、使うとえぇ」


 そういって、小さな弓を差し出してきた。さっそく鑑定してみる。

 ……最近なにかと鑑定癖がついてきた気がするな。良いことなのか悪いことなのか……。

 まぁいい、いまは鑑定より弓だ。


 ・ちいさな木の弓 ランクG 説明 初心者用の弓。使いやすい


 うん。弓だった。まぁ、そうだよな。

 あ、そうそう、物の鑑定は、説明という項目が増えたよ。まぁ、かといって、説明項目の有効利用も見つからないんだけど、情報が増えることはよいことだと思う。


「ありがとうじいちゃん」

「ほほほ、クラッドは、弓より魔法のほうがすきかのぅ。魔法のときのほうが目をきらきらさせとったぞ」

「…………」


 うぐ……。いや、そんなことないぞじいちゃん。魔法より弓のほうがかっこ良いんだからね!! 弓だって派手なんだからね!!


「まぁええわい。クラッドや、玄関にお前用の矢と的を用意してあるから、好きに使うと良い」


 そういって、楽しそうにじーちゃんは狩りに出かけていった。


 じいちゃんを見送ったあとは、ワクテカする弓の時間だ。

 魔法よりわくわくする弓の時間だ!! ほんとなんだからね。魔法より、わくわくするんだからね。


 ……うん、がんばろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ