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ソフィアを購入したおかげで資金が無くなり、どこにも立ち寄ることなく宿に帰宅した。
ジュリ達はまだ買い物中らしく、部屋に2人っきりである。
ここへ来る道中、彼女から話しかけられることはなく、無言だった。どうやら緊張しているようだ。
そんな彼女に初めての命令を下すことにする。
「敬語が必要そうな場面以外、基本的に普段通りの雰囲気で話してくれ、さっきのようにな」
「……了解したよ。敬語が嫌だなんて、ボクのご主人様はかなりの変わり者のようだね」
「まぁ、自覚はある。そんな僕を支えてくれよ?」
「無論だよ。それがボクの仕事だからね。……それじゃぁ、なにから始めればいいかな? 希望を聞いてもらえるならでいいんだけど、先に体を洗わせて欲しいんだよね」
風呂か……。ここの宿に風呂はないし、後でジュリ達と行ってもらう方がなにかと便利か。
「いや、申し訳ないが、体を洗うのは後だ。先に君のことを教えてほしい」
「……了解したよ。そっか、汚れたままがいいなんて、キミはなかなか特殊な趣味のようだ。こう見えて乙女なんだけどな。ご主人様の趣味ならしかたないね」
ゆっくりとめくれあがった服から白い太股、くびれた腰と、下から順番に出現し、大きな果実が半分現れたところで、慌てて彼女を止める。
「ちょ、ちょっとまて!」
「ひゅっ。……」
予想外の彼女の行動に、思わず大きな声が出た。
僕の制止に答えるかの様に、服を胸元までたくし上げた状態で、彼女の動きが止まる。
その表情は恐怖に染まっていた。
これ誰かに見られてたら、僕が無理やり脱がせてるように見えるだろうな……。
なるべく彼女の方を見ないように心がけ、できる限りやさしい声で命令を下す。
「とりあえず、服を元に戻してくれるか?」
「……畏まりました」
服を調えた彼女は、間髪いれずに正座の態勢になり、頭を床に着けて、綺麗な土下座をした。
「……誠に申し訳ありませんでした。粗相をしたのでしたら改善させて頂きますのでなにとぞ、寛大な処置をお願い致します」
「あ、いや、大丈夫だから。頭を上げて。ちょっとした伝達ミスだから、ソフィアに非は無いよ」
部屋についてからの自分の行動を思い返せば、ソフィアがそうなっても仕方なかったって感じだな。
奴隷の立場で、主人と2人っきり。さらに、君のことを教えて欲しい、だもんな。
「僕はソフィアの回復魔法と気転が利く頭脳を高く評価したんだ。性奴隷を買いにいった訳じゃないからね」
「そうとは知らず、大変見苦しいものをお見せしてしまい、誠に申し訳ありませんでした」
「あーもー。だから、ちょっと落ち着けって。ソフィアのことを店に返したりなんてしないから、もう少し、気を抜け。な。お願いだから」
「はい、申し訳ありません」
再び床に伏せた彼女の声が震えだした。どうやらパニックに陥って泣いてしまったようだ。
どうやって落ち着かせようかと考えていると、背後の扉が開いた。
「ただいまー。お兄ちゃん先に帰ってきてたんだね。ごめんね、私達のほうが時間かかっちゃって。……ってどうしたの?」
救いの天使が現れた。




