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<2>

 人生には絶望してないが、神には絶望してから1年が経過した。


 おかげさまで、それなりのスピードで歩けるようになった。まぁ、2歳レベルではあるのだが……。

 体についてはその程度なのだが、それ以上に自分の鑑定結果が大きく変化した。


 まぁ、まずは見ていただこう。


・クラッド 2歳 男性

 剣Z 弓G 魔法Z 神託:鑑定

 

 なんと、弓がZからGに変化した。


 ある日、ふと自分を鑑定してみたところ、Gになっていた。

 あわくぼんやりとする記憶を辿ってみると、その数日前にじーちゃんの弓に触れたことがあった。恐らくはそのおかげでレベルアップしたのだと思う。


 まぁ、正直な話、変化したキッカケなどどーでも良い。一番重要なのは変化したということだ。

 鑑定の数値が不変のものでなくて本当によかった。あのまま、ずっと逆チート状態で、何をするにも絶望しなきゃいけないのかと思った。


 ってな訳で、鑑定の数値は才能ではなく、技術力であることが判明した。


 そうと分かればすぐに行動に移すほかあるまい。

 折角の異世界なのだから、魔法で魔王と戦って見たいやん。ど派手な奴をどーーんと打ちたいやん。


 たしか、ばーちゃんもじーちゃんも魔法の項目はFで、どどーんと使いこなせるはずだ。


「じーちゃん、まほー、おしえて」

「ほほほ、魔法かぁ、クラッドは難しい言葉をしっとるのぉ」


 ちょっとまっちょれよと、じーちゃんは台所から桶を持ってきた。


「よし、じじーが使うのを良く見とくのじゃよ」

「うん」

「ほいじゃ、やるかのう。偉大なる女神よ、凍える我らに――」


 キターーーー!! 詠唱キターー。70歳オーバーの中二病(笑)キターー。オラわくわくすんぞ。

 

「ファイアー」


 決め言葉キターーー。かっけーー。

 じーちゃんの人差し指から100円ライター程度の火が燃えていた。


「ほほほ、気に入ったようじゃのう。やっぱり男の子じゃてぇ」


 どうやら、じーちゃんの魔法を見て、ランランとしていたらしい。

 ……まぁ、自覚はある。だって、魔法だよ。これぞ異世界って感じじゃない? ワクテカするでしょー。


「次を見せてやろうかいのぉ」

「うん」


 どうやら、僕の反応にじーちゃんのテンションもあがってきたらしい。


「慈愛の女神よ。渇きたる我らに生きる糧を与えたまえ。ウォーター」


 次は指から蛇口をひねったレベルの水が出てきた。 

 

 すげー、さすが異世界。俺もやろう。詠唱は覚えたしな。水はびちゃびちゃになるし、問題なさそうな火からやろうかな。


「いだいにゃる、かみよ。こごえわれらあたためたえ。ふぁいー」


 うがーーー、ちげーよ。おい2歳、ちゃんとしゃべれ。

 ……どや顔で詠唱してみたが、もちろん火は出なかった。


「ほほほ、さすがわしの孫じゃてぇ、頭がええわい。その調子で、詠唱するんじゃぞ。魔法のこつはな、出来ると思うことじじゃでな。よっこいしょっと」


 そういってじいちゃんは台所に桶を返して戻ってきた。その間に三回詠唱を行って見たが2歳の滑舌には勝てなかった。練習するにしても、もう少し滑舌が良くなってからにしよう。


 諦めて、楽しそうなじーちゃんを見る。


「つぎーはー、つぎー」

「つぎか、次はないんじゃ。今の二つで十分じゃよ」


 …………は? ……なんですと? 二つで十分って、いやいやいや。あれ? かっこいいやつは? 核弾頭とまでは言わないが手榴弾レベルのやつは? 


 後々、じーちゃん、ばーちゃんに聞いた話を総合すると。一般人でも魔法が使えるが、ライターと蛇口の2種類が基本で、そのほかの魔法は貴族などが独占し、一般人には禁止としているらしい。


 まぁ、そうだよな。日本でいうとこの、拳銃は警察官だけが持つのといった感じだろう。一般人が核弾頭や手榴弾を持ってたりなんかすると、管理するほうとしては不安でしかない。


 要するに一般家庭に生まれた僕は、一生涯、魔法とは縁のない生活を送ることが決定しているらしい。


 ……僕は何のために異世界へ来たのだろうか。……神、魔法のチートくれよ。頼むよ、いや、マジで。

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