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短めに区切りながらも、なるべく毎日投稿します。
主人公同様、ゆっくり成長していく予定なので暖かく見守ってください。
転生から1年近くの時間が経過した。この小さな体にも慣れ、ゆっくりではあるが一人で歩けるようになった。
これまでの調査の結果、両親は僕が混沌として意識がなかった期間に戦争に借り出され、亡くなっているらしい。そして現在は、祖父母と3人暮らしであることがわかった。
家は猟師の家系らしく、じーちゃんが猪や熊に似た獲物を狩っては、ばーちゃんが解体と毛皮のなめしを行い、処置が終わるとじーちゃんが売ってくるといって3、4日家を空けていた。
今日もじーちゃんは腰くらいまである熊らしきものを背負い帰宅する。
「じーじ、それー」
「おぉ、クラッド。すごいじゃろ。中々の大きさじゃてぇ」
脳内では27歳がしっかりと言葉を作って発言しているが、口から出るのは1歳レベルが限界らしく、とても歯がゆい。
本当は、じーちゃんにそれの名前を教えて欲しいって伝えたかったんだけどな。
そんなことを考えていると脳内に突如として、文字が流れ込んできた。
・ラビットベア ランクF
「!! ぉおー」
「ほほほ、そんな驚いたか。今度はもっと大物を取ってこようかのぉ」
そういってじいちゃんは、ご機嫌そうに井戸の方へ体を洗いにいった。どうやら、僕が熊、もといラビッドベアの大きさに驚いたと思ったらしい。
そういえば神(自称)が、鑑定スキルやるからどうのこうのっていってたっけか。たぶんそれだろう。そういえば、日本時代に呼んだ異世界物の小説って、召還スキルが重要なウェイトを占めてることが多いよな。ってことで、家に祖父母と自分を鑑定してみた。
まずは当たり障りのない家の結果から見ていただこう。
・木造の家 ランクD
うん、知ってるって感じの結果だった。まぁ、ランクDってとこには若干がっかりしたが、今まで不自由に感じたことはないので、気にしたら負けだと思う。
次に祖母たちの結果だ。
・リアム 72歳 男性
剣D 弓C 魔法F
・アーリア 70歳 女性
剣D 弓D 魔法F
どうやら人間の鑑定結果は比較的詳しく表示され、剣や魔法などの適正もしくは技術力で評価されるようだ。じーちゃんの弓Cってとこを見ると、狩りは弓で行っているのだろう。
そして、お待ちかねの僕の鑑定結果だ。
・クラッド 1歳 男性
剣Z 弓Z 魔法Z 神託:鑑定
うん。一言いってもいいだろうか。
おい、神!! テンプレどこいった。全部Zって何だよ。チートはどーしたよチートは。逆チートってっか、おい。
とりあえず、テンプレ通りのチート能力は授かってないことが判明した。
……あの神だしなー。たぶん面倒だったとかそんなとこだろーなー。まぁ、鑑定ってのが神託になってるし、一応、チートなのかなー。
そういうことにしておこう。じゃないと、1歳にして人生に絶望してしまう。