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ジュリと生活をするようになってから3年の月日が流れた。
僕は相変わらず、狩りでの生活を続けている。
村長がいなくなった村も生活自体は大きな変動はなかった。住民全体が、どことなく元気がないかなといった程度だ。
商人のハウンさんは月1で塩や薬を持ってきてくれるし、きこりのジュンさんが村長の仕事を肩代わりしてくれている。
塩の値段や薬の値段が少しずつ値上がりしているが、これは戦争のためらしく仕方がないらしい。
1番の変化は、3ヶ月に1度くらいのペースで、国家警察を名乗る男達が、村長は戻らないか? と村を訪ねてくるが、それ以外は概ね良好である。
ジュリとの生活も不便はない。……まぁ、彼女の着替えの度に家の外へ追い出されるが、部屋は1つしかないため、仕方のないことだろう。
今日もいつも通りの時間に朝食を済ませ、彼女の着替えを待ってから、ジュリと一緒に狩りに出ていた。
「やった、ほら、お兄ちゃん、みてみて。ラビッドベアー、1発で仕留めれたよ」
獲物を手に木々の合間をうれしそうにジュリが近寄ってくる。そして、彼女が動くたびにポニテがふさふさと揺れ、胸もゆさゆさと揺れていた。
12歳になった彼女は女性らしく成長している。
顔はより可愛らしく、体は引き締まりながらも丸みを帯び、胸はCカップをこえる大きさに成長した。
いや、まぁ、直接見たことないから憶測だけどね。
体だけでなく弓の腕もしっかりと上達している。いまでは村周辺の獲物ならすべて1人で仕留めれるレベルにまでなった。
「よし、家に帰って昼飯にするか。お腹すいただろ?」
「うん。じゃぁ、今日は煮込み料理にするよ」
「それは楽しみだな。ジュリの煮物はおいしいからな」
「えへへー。お兄ちゃんのために練習したからねー」
料理の腕も上達していた。
……初めのころは火の手をあげたりなど大変だったからなー。
味は……あまり思い出したくはない。
妹の始めての手料理はがんばって残さず食べた。ほんとがんばった。
「じゃぁ、付け合せのさんさ――!!!」
「……んー? どーしたのお兄ちゃん」
「近くに人の気配がする」
声を小さくしてジュリに危険をつたえる。
15歳になった僕もそれなりに成長していた。
クラッド 15歳 男性
剣 - (Z) 弓 3221/10000 (C) 魔法 10/10 (F) 神託 鑑定3
スキル 命中補正4 気配察知4 生活魔法
弓はランクCとなり、東京ドームの端から端くらいなら外さない自信がある。
気配察知に関してもレベルが上がり、意識を向ければ1キロほど先までわかるようになっている。
その気配察知スキルが人を捕らえた。
村まではかなりの距離があり、ここまで人がくることは滅多にない。むしろ、今まで一度もなかった。
それに、この気配は村の人じゃない。
気配は、動物でも人でもそれぞれが少しずつ異なる。そのため、会った事のある人なら十中八九わかる。
村人じゃない人がこんな山奥に居る。とてもじゃないが、好印象は抱けない。
「ジュリ。相手との距離がある今のうちに、家に戻るぞ」
「うん、わかった」
トラブルの匂いがする場所へわざわざ近づく必要はない。なにかするにしても情報を得てからだ。




