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<15>

 とりあえず泣いた。

 なにも手につかず、涙ばかりが溢れ、気がついたら眠りに落ちていた。


 目を開き、あたりを見渡しても、じーちゃんばーちゃんは居ない。


 夢であれば良いと目を閉じて、また開いた。


 囲炉裏そばの使い込まれた座布団、火の消えたかまど。家全体がどこか寂しく見える。

 

 それでも一晩泣き腫らしたこともあり、昨晩と比べれば落ち着いていた。


 なぜ10年なんだとか、2人のために出来たことがあったのではないかなど、色々と頭をよぎったが、消え行く前の2人の笑顔を汚すことになると思い、それ以上考えることはやめにした。


 じーちゃんもばーちゃんも楽しかったと言い、前を向いてあるくことを望んでいた。だから僕は歩いていかなくてはいけない。

 そう思えるくらいには落ち着けた。


 そして、4人分用意してあった意味を理解した。


 ばーちゃんは、僕が1晩中泣くことを予想していたのだろう。


 余分な1人前は僕の朝ごはんだった。


 大好きだった卵焼きに、じいちゃんがとってくれた肉料理。じっくりと味がしみこんだ煮物。


 泣くのはこれで最後だからと自分に言い聞かせ、ゆっくりと噛み締めた。

 

 昨晩はあんなにおいしかった、僕の好きな料理達。


 今日はあまり味がしなかった。


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