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<12>

 翌朝、村長夫人から毛皮の売却金を受け取り、そのお金で塩と香草を買い、自宅へと帰った。


 ちなみに、村には商店などなく、村長が一括で買い上げて欲しい人に売る形式らしい。村全体で16世帯なので、その方法で十分とのこと。

 塩は月に一回、年貢の回収のついでに町から来る商人から購入してるそうだ。

 

 初めての村は予想より小さいことや、上げて落とされなど色々あったが、初めての友達も出来たし、良い旅だったと思う。


 翌週から、村へ行くのは僕の担当になった。

 じーちゃんは月に1度、村長に話しがあるとかで一緒に来てくれたが、基本は1人だった。


 そんな生活も1年ほど続き、狩れる量もふえ、日帰りで村へいけるようになったため、週2で村へ行っていた。そのおかげか、ジュリとは本当の兄妹のように仲良くなれたし、彼女の弓も目を見張るような成長を見せている。


 ジュリ 7歳 女性

 剣 8/10 (F)  弓45/100 (E) 魔法 4/10 (F) 

 スキル 交渉術1 命中補正2 切れ味1 気配察知2


 気配察知2も覚え、弓がEになった。交渉術や剣は村長から教わっているらしい。


 素直な性格なのか、指示した訓練は毎日しっかりとやっているらしい。そして、僕が村に行く日は、村の入り口で待っていてくれる。そんな彼女の態度を見れば、指導にも熱がはいるというものだ。


 いつもの時間に町に到着すると、今日も彼女は出迎えてくれた。


「おにーちゃーん。矢、うまくいったんだー。これでどうかなぁ?」


 久しぶりに飼い主に会えた子犬のような態度で、うれしそうに差し出してきた矢を受け取りとる。


 やじりは綺麗に研がれ、重さも良い。綺麗な直線で矢羽にも問題はなさそうだ。


「うん、綺麗に仕上がったね、合格だよジュリ」


 えへへー、と頬を赤く染め、照れている姿がなんとも可愛らしい。


 許婚のあるぼんぼんには、結婚したいなら彼女の師である俺を倒してからにしろ!! と宣言することは、僕の中で確定事項である。異論は認めない。そして、負けてやるつもりはない。


 まぁ、権力への対抗策は未だに見出せないんだが……。

 

「あ、そうそう。お兄ちゃんに会いたいって、ハウンさんが家で待ってるんだった。早く行かなきゃ」

「っ!!!!」


 きたか、ついにきたか許婚!! そうか、僕の宿敵はハウンって名前だったんだな。

 よし、もう権力など関係ない。世界を敵に回す覚悟は出来た。


「よし、わかった。どこで決闘すればいい? いつもの訓練場でいいか?」

「……んぅ? 決闘? なんで決闘?」

「男にはなぁ、負けると分かってても挑まねばならないときがあるんじゃい」

「……お兄ちゃん、口調変わっちゃってるよ?」

「それが男ってもんよ!! さぁ、男同士の神聖なる戦いへ、いざ参ろうぞ!!」

「ふゅ? おにいちゃん。男同士って、ハウンさんは女性だよ?」

「たとえ、相手がじょせい……、女性??」

「うん」


 ……、ん? あれ? 許婚が女性? 異世界って同性婚認めてんの?

 いや、あれ? なんかおかしい。


「じゅり、ハウンさんって人が僕に会いたくて村長家で待ってるんだよね?」

「うん」

「で、ハウンさんは女性なんだ」

「そうだよー」

「……ハウンさんってどんな人?」

「かっこいい人だよー。月1で塩とかお薬を持ってきてくれるんだよ」


 あ、うん。理解した。月1の商人の人ね。許婚到来事件じゃないのね。お兄ちゃんびっくりしちゃったよ。

 なるほど、許婚野郎は僕が怖くて来ないんだな。ふぅ、ヘタレな野郎だぜ。


「その人はどうして僕に会いたいって言ってるの?」

「なんかね。お礼が言いたいんだってー」


 お礼? なんの話だろう。……まぁ、会えばわかるか。


「じゃぁ、待たせても悪いし、ジュリのお家に行こうか」

「うん。いこー」


 ジュリに手をひかれながら、村長宅へ向かった。

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