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<11>

 ヒロインではないことが発覚してから1時間ほど経過し、大人たちが帰宅した。

どうやら、ジュリにあう大きさの弓の作成や練習場となる畑に的と柵の設置が完了したらしい。


 残された僕は、こんな純粋な子を許婚にしているなんて、このロリコンが、爆発しろ。という思いを胸に、8年ぶりとなる同世代との楽しい会話を味わっていた。


 リア充はみんな爆発すればいいんだ。核分裂じゃなくて融合で爆発しろ、ちくしょう。

 

 そんなこんなで、練習場へ移動し、ジュリに弓を教えることにする。


「そう体をつま先からまっすぐになるようにして。あーちょっと力が入っちゃってるからもう少し力を抜いて見て。……うん、そうそう、じゃぁ、一発撃ってみようか」


 ジュリの小さな体に合わせるように作られたちいさな矢は、手から離れ弱弱しくもしっかりと前に飛んだ。

 ジュリ本人もランランと飛び跳ね。とんだよ、おかーさん、といった感じで母に頭を撫でられている。


「ほら、お兄ちゃんにお礼は?」

「うん、ありがとう。おにいちゃん」

「どういたしまして。いまの基本を忘れずに、毎日練習してたら、どんどん上手くなるよ。そのうち僕より上手くなるんじゃないかな」 


 そういって、僕もジュリの頭を撫でてあげた。

 出会った当初では考えられない、安心しきった表情で嬉しそうに撫でられるジュリは、髪型も相まってどこか猫のように見える。


 ジュリの可愛さを堪能していると、じーちゃんから指令が入った。


「ほほほ、クラッドや。ジュリちゃんの手本となれるような的当てを見せてあげなされ」

「わかったよ、じーちゃん」


 師であるじーちゃんの命令は絶対だ。手本になるようにって言われたからには、僕の本気を見せてあげる必要がある。


 そう、たとえば都会のぼんぼんじゃ絶対に射ることができない距離からの見本とかな。


 ってなわけで、100メートルほど的から離れてみた。野球の外野からキャッチャーくらいまでの距離だ。

 

「じゃー、射るよー」


 掛け声と共に放たれた矢は、シュパンと心地よい音を出して的に刺さった。


「な!?」

「え?」

「すごーい。おにいちゃん、ゆみじょうずー」


「ありがとうね。ジュリちゃんも練習すれば出来るようになるよ」

「……さすが、リアム爺の孫だ。弓に関しては俺と同じ位のレベルなんじゃねーか? お兄ちゃんを見習ってジュリもがんばるんだぞ」


 うん、がんばるといって、じゅりちゃんは15メートルくらいの距離から的目掛けて矢を射る。

 その微笑ましい風景を眺めているうちに夕暮れとなり、本日は村長家に泊めて頂くことになった。

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