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<10> 

 村長夫人の検品作業は続き、続々とBやCが見つかる。

 じーちゃんが仕留めたものはすべてAなので、ぼくの未熟さが浮き彫りになる結果だ。


 それでも夫妻は、すごいねー、と褒めてくれ、どんな弓を使ってるんだい? どうやって仕留めたんだい? と、僕が自慢しやすいように話題を振ってくれた。


 久しぶりにじーちゃん、ばーちゃん以外と話したこともあり、僕も楽しく話せた。

 まぁ、冷静に思い返すと、矢が手から離れてシューパーと飛んで行きー とか、中2病全開。擬音使いすぎだろー とか思わなくもないが。楽しかったからいいやって感じだ。


 何より、村長娘が目をランランと輝かせ、聞き入ってくれたことが楽しかった。初めの挨拶時と比べれば格段に仲良くなれただろう。

 これはもう、村長娘とかツインテ少女とかじゃなくて、ジュリちゃんと呼んでもいいだろう。いや、呼んでも良いに決まっている!!


「おにーちゃん、かっこいいね」


 おにーちゃんきたーーーーーーー!!! しかもかっこいいって!! 


 なにこの子、ちょうかわいいんですけど。ってか、ちょっとまて、冷静に考えると、僕8歳でこの子6歳、家が……、まぁ、6時間かかるが近所といえなくもないだろう。いや、近所だ間違いない。だって、4軒お隣の家だよ? 近所でしょー。


 いまはまだ幼い少女だが、パッチリおめめとしっとりした黒髪、これは将来美人間違いなし!!

 そして、この子が18歳の黒髪美人になったとき、僕は20歳。ベストカッポー。


 つまり、黒髪ツインテ幼馴染系ヒロインきたーーーーーーー!! 


 神様、ありがとう。いままで恨んでいてごめんなさい。テンプレ通りに可愛いヒロイン登場させてくれてありがとう。このご恩は一生忘れません。


「ねーおかーさん。おにーちゃんクネクネしてくけど、どうしたの?」

「えっと、ぅん。お兄ちゃんはね、ああやって訓練してるから強くなれたのよ」


 っは、いかん。どーやら、ヒロイン登場にテンションを上げすぎたらしい。ここは冷静に勤めねば。


「まぁ、じーちゃんの足元にも及ばないんだけどね。それでも、狩りが出来るようになってから楽しいよ」

「そうなんだ。じゅりもおにいちゃんみたいにつよくなりたい」

「よし、じゃぁ、ジュリにはお父さんが剣を教えてやろう」

「や。ジュリ、おにーちゃんのゆみがいいー」


 フラグキターーーーー!!


 高まる気持ちを抑えつつ、師であるじーちゃんを見てお伺いを立てると、うれしそうに目を細めながら頷いてくれた。


「うん、じゃぁ、お兄ちゃんが弓を教えてあげるよっか」

「いいのおにいちゃん!! ありがとう」


 フラグ回収完了!!! 


「そうだ、うんとね、おかーさん。おにーちゃんがじゅりのこんやくしゃさんなの?」


 …………。


 ん? なんだって? こんやく? 記者会見? 離婚はファックスで?


「……えっとねぇ、婚約者さんは王都にいるのよ。このお兄ちゃんは……、えっと、……そう、近所のお兄ちゃんなの!!」

「そうなんだー。……おかーさん、おにいちゃんうずくまってるけど、どーしたの?」

「……お兄ちゃんはお腹が痛くなっちゃったのかなー。そうだ、お母さんは練習場の準備してくるわね」

「……そ、そうじゃのう。わしは弓を作ってきてやるかのぉ」

「う、うむ。的の準備をしておこう」

 

 大人たちは、居た堪れない空気から逃げるように、家を出て行った。

 

 ……はい、ということでね。ヒロイン婚約者いるよーーーー!!


 王都ってことは貴族かなー、会ったことないってことは許婚なのかなー。貴族の許婚とか強敵だねー。うん、たぶん勝てないねー。


 ……この子、たぶんヒロインじゃないね。うん。


 ねぇ、神様、テンプレ……。

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