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事後承諾ってステキな響き

何とか復活しましたーーー!!


いやあもう何の羞恥プレイかと思った!

私のライフポイントばかりか精神力までゴリゴリ削るとかなんだあの殿下は!


魔術方陣を身体に入れられて手足に全く力が入らないからってまめまめしく人の世話を焼くな!!

自分が王子だってわかってんのか!!


侍女・女官さんの視線と扱いがいたたまれなさすぎて泣けるわ!!やめてくれ生暖かい目を向けないで私は違う!!!!



………まぁ、それは置いといて。

それよりも私にとってはこっちの方が大事だ。

自活出来るようにようになりました!






※※※※※







「恐らく、アクラシエル殿下の施した魔術方陣が体内で上手く馴染み、その結果今まで無かった魔力を使え感じられるように身体が造り変わったといったところでしょうな」



「それは、万々歳ってことですかね?」



「ぶっつけ本番でしたがそのようですね。多少の予定外はありましたが」



「………イエ、私の認識が甘かったダケデスヨ」



魔術方陣がきちんと機能しているかのチェックは、アルマロス=ストレーガに行って貰った。

とはいっても夾香は魔術方陣の上で座っているだけだから楽で良い。


なんでも準禁術は王族しか行使することが出来ない決まりになっているらしい。内容は魔術のマイスターでも知らないのだとか。乱用を防ぐ為とはいえ、中々徹底している。もちろん、行使出来る王族というのも三人に限定している。


邸のアルマロス=ストレーガの研究室の一角で行われた‘診察’だが、準禁術に関して詳しい事はアルマロス=ストレーガでも知らないらしい。でもきちんと正常に働いているかを見るだけなら問題ない。



「………まぁ、場所が此処で良かったと言うべきでしょう」



アクラシエル=フェースに入れられた魔術方陣は、夾香の背中にその紋様を浮かび上がらせた。

肩甲骨の間に夾竹桃の大輪の花が咲き、肩甲骨の上に天使の翼の意匠。自分で見たときは驚愕した。


本当に顔じゃなくて良かった。


だが、別にそこは予定外ではない。


魔術を道具として扱う世界で、ましてや自分でも自在に魔術を操れるようになって。


果たして魔術の影響を受けずに過ごせられるか?


まずアルマロス=ストレーガの邸に住んでる時点でアウトだ。



「背中の開いた服なんてそうそう無いでしょう?」



「夜会用のローブデコルテはどうするつもりですか?あれは胸元も背中も出す仕様でしょう」



チェックが終わったらしいアルマロス=ストレーガの差し出された手を取り立ち上がる。彼は最後まで夾香に準禁術を入れることを反対したと聞いた。最後は本人が決める事だとアクラシエル=フェースに押し通されたそうだが。

何でも若い女性の肌に何を刻むつもりか、と。


………いや別になんも気にしないけど。



「………ご安心を。対策は講じられそうです」



………ええ、それに関しては何とでもなりそうですよ。


若干遠い目をしながらも、実は仕返しも同時に思い付いた自分がびっくりですとも。遠い目の次には嘲笑まで出てきますよ?



「そうですか。準備の方はアクラシエル殿下がいらっしゃるとはいえ、何もなくてもいらしてくださいね」



何もなくてもって、暗に此処に来いってことですかね?



魔術方陣を入れられて、本ッッッ当に身体が自分で動かせない状態が三日間。その間に、アルマロス=ストレーガの邸の真横に夾香の邸が建てられていた。

基本的にマイスターと呼ばれる王宮住まいの技術者達は、規定の一軒家をベースにカスタマイズして暮らしている。つまり工房や研究室、資材の保管庫等の大きさや広さによってまちまちだ。


取り合えず、夾香の邸はまだ、夾香の感覚では許容範囲内にはなった。建てる前にミニチュアの模型も見せて貰って確認もした。


二階建ての庭付き一軒家である。一階部分は玄関と応接室、おもてなしの為にリビングダイニングのような造り。その隣に作業場と、材料の保管室は作業場から繋がる地下室を作って貰った。材料は高価な物が多いため、安全面と管理の問題で地下室。地下室と言っても家の面積分全部地下室になっていたが。

二階はプライベートスペース。夾香の私室兼寝室に、ウォークインクローゼット。お風呂やシャワーも私室の中にあるのはありがたい。


アクラシエル=フェースには「本当にこんな小さいので良いのか?」と散々言われたが良いのだ。むしろ充分過ぎる扱いにこれ以上は逆に怖すぎる。


オマケに、現在進行形で邸にいるであろうアレがとても微妙な心境だ。


だから、アルマロス=ストレーガの誘いはとっても嬉しい。この世界に来た元凶の最たる人物だが、人間として彼の事は嫌いではない。恐らくは誰よりも夾香個人の味方になってくれるのはアルマロス=ストレーガだからだ。



「お言葉に甘えて、これからもちょくちょくお邪魔させていただきますよ」



それに、丁度アルマロス=ストレーガには頼みたい事も合った。



「いつでもどうぞ。客間はそのままにしておきましょう。おねだりでも構いませんよ」



相変わらず気前が良い。ロマンスグレーのダンディーなオジサマにそんなこと言われちゃうとうっかりときめくじゃないか。………でも今回は好都合だ。

きらん、と自分の目がきらめくのがわかる。



「じゃあ、‘おねだり’の方で。───私のモデルになって下さい」

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