逆鱗
ルーの魔力反応が消えてからイクスはさらに焦った。痕跡を辿り魔界に辿り着いたイクスだったがそこにルーはいない。
「…遅かったか!!」
ルーが連れ去られたとするなら冥界か。イクスは再び世界の狭間を駆け抜けた。
「レヴィアタン様!侵入者です!!」
「ったく、それくらいお前らでどうにかしろよ。」
「…イクスです!やつは我々の手にはおえません!」
「ほぅ、そうか。」
と、レヴィアタンが口角を上げる。
ーさて。楽しませてもらおうか。先代ルシファーを屠った力を。
その頃ルーは度重なる苦痛と屈辱、更に薬物で精神的にも身体的にも限界寸前だった。
「……ぅ。……あ…。」
「まだ意識があるのか、流石神獣。生物としての格が違うなぁ…。」
周りにいる悪魔たちが楽しそうに声を上げる。
「イ…クス…様…。…すみ…ませ……ん。」
ルーがとうとう全てを諦めかけたその時、
ーバヂッ
辺りにとても不快な音が響く。
「なんだ!?」
「おい、見ろ!あそこ!!」
悪魔たち、さらにはルーもぼんやりする意識の中必死に目で追った先の何もない筈の空間に裂け目が出来た。
ーバリッ、バキバキィバヂッ
裂け目が徐々に広がり現れたのはイクスだった。イクスはすぐさまルーの側に転移し拘束を解く。
「すまない、遅くなった。後で絶対に治してやる…!」
イクスの一言一言に怒気と魔力が漏れる。ルーが安心したように意識を手放すのを確認するとイクスが複数人の悪魔に向かい言う。
「…お前らはもういなくていい。」
恐ろしく冷たい、心の底から凍りつくような言葉だった。
「はっ!先代ルシファーを倒したからなんだってんだ!こっちには」
最後まで言い切る前に突如現れた光の刃に斬り刻まれていく。
「勝手に喋るな…。『ジャッジメント』…!全てを塵にしろ!!」
「グワッ!」
「ギャッ!!」
イクスの呼びかけと同時に光の刃が縦横無尽に振るわれる。屋内にいた悪魔たちにそれを避ける手段はなかった。部屋に血の海が広がる。
「ここは狭いな。」
ルーにプロテクトを張り頭上に爆撃魔法を放つ。イクスたちが地上に出ると1人の悪魔が立っていた。
「あんたがイクスか。」
「…誰だよ、お前。」
「ああ、自己紹介が遅れたっけ?俺はレヴィアタン、この冥界第一層を仕切らせてもらってる。」
「なぜルーを連れ去った?」
「情報を吐いてもらう為だ。それについては成功だ。今頃世界の一つ、てめえのバックアップが現在いる世界に攻める段取りがついた。あとは、うちの部下の慰安にでもなればと思ってな。」
「………そうか。」
イクスが出現させた月読の魔力が上がっていく。
「まあ用は済んだし見せてもらおうか、イクスの力を!」
最早会話すら嫌だとばかりにイクスが月読を振る。
「………冥界ごと葬り去ってやる…。『アルティメットデストロイヤー』‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
長老に呼び出されたイクスはひたすら説教をされていた。
「全く、この馬鹿者が。ルーちゃんを連れ去られたとはいえ、冥界第一層、第二層を丸ごと消滅させるとは…。」
「後悔はしていない。」
イクスが毅然と答える。
「そういう問題ではない!まあ、こちらも近々冥界に攻め込むつもりだったからのう。戦線布告としてはいい具合かもしれん。」
「俺は俺の家族、周りの親しい者が傷つけられるなら何にだって容赦はしない。世界の一つや二つぶっ壊してやる。」
「お主もたまには人を育ててみるということをしてみよ。そうすることで見えてくるものもあるぞ?」
「何をだよ…。」
「その時になればわかるじゃろう。」
長老は不敵に微笑んだ。
さて、別作で消えてからのイクスの話がひと段落しました。またそのうち話が合流することもあるかと思います。よろしければどちらもよろしくお願いします。




