帰還
オウカSIDE
なんであいつはドラゴン相手にひるまないのよ。幻獣クラスよ?剣を持っただけの人に倒せるわけないじゃない。
ほら、刃が通らないじゃない。どうするのよ、ってなんて無茶苦茶な倒し方するのよ。
やばい、ちょっとかっこいいかも。いや、違う、そんな事ないわ!そんな事…
まさかねえ…
自分の気持ちに気づかないオウカだった。
ルーSIDE
私が戦った方が速いのに、何故イクス様は自分で戦うと言ったのだろう。あんな鈍刀でドラゴンの鱗が裂けるわけないのに。
って、えぇ〜!?
倒し方が無茶苦茶過ぎる。やっぱりこの人は規格外だ。
改めてそう認識するルーだった。
町に戻ると、ユリが門のところで待っていた。
「さっき依頼者から連絡があったのよ!あなた達ドラゴンに会ったんだって?よく生きて帰ってきたわね。」
ホッとしたような顔をしている。
「ドラゴンなら倒したよ。」
「は?」
「だから、ドラゴンなら倒したって。」
「ちょっと待って。それ本当?」
「ほい、証拠。」
そう言ってユリに渡したのは、魔臓と呼ばれる部位だった。ルーの話では魔法を使えるものには必ずあるらしい。折れた刀で取り出すのは骨だったなあ。
「えっ?えーっと…とりあえず、これはギルドで鑑定させてもらうわね。お疲れ様。結果が出るまで、ギルドで休んでていいわよ。」
「ありがとう。」
「ありがとうございます。」
ギルドに戻って10分程で結果が出た。俺たちが倒したのは、『グランドワイバーン』と呼ばれるドラゴンらしい。
「初めての依頼で幻獣クラスを倒した冒険者は初めて見たよ…。依頼で受けるとAランクだよ?まあ、格上依頼クリアという事で2人ともBBに昇格…と言いたいけど、経験も積んでないし、初めてでBB以上ってのもちょっとねぇ?というわけでBランクに昇格ってことになっちゃったけどいい?」
「まぁ、下がってるわけじゃないからいいけど…。」
「私も文句は無いわ。」
「じゃあ、はいこれ。報酬ね。」
出てきたのは仮金貨5枚だった。あれ?
「不思議そうな顔してるけど、あなた達が倒したのは猪じゃなくてドラゴンよ?それ相応の報酬がでるに決まってるじゃない。」
「はぁ。ありがとう。」
「それと、2人ともギルドマスターから呼び出しがあるわよ。」
「「えっ?」」
次は何があることやら…。