絶望、そして…
トウヤがイクスに発砲した数秒後、全員が絶句していた。
「…弾が……止まってる…?」
トウヤから放たれた銃弾はと言うと、イクスの前で全て静止していた。
「…なんなの…、その…能力…!」
普段感情を表に出さないオズもこの時は少し声を荒げた。
「…これはな、『慣性停止』っていうんだ。」
全員がわかっていないようだった。
「…そうか、この世界にはまだ無い概念だったか。簡単に言うとだな、この能力の前ではあらゆる『動き』が無くなるんだ。」
「それって…」
全員がようやく理解したようだ。そう、この能力は銃が主力のこの時代において、最強の力という事だ。
「…あんなの、どうやって…?」
「…決まってるさ。銃が駄目なら、剣で戦うまでだ!!」
ートウヤ以外は戦意を喪失したみたいだな。じゃあ、とりあえず避難させるか。
「『テレポート』」
イクスはトウヤ以外の全員を転移させた。
「俺が呼んだのは、トウヤだけだ。他の者にはご退場願おう。」
「リオンだけじゃなく…他の皆まで…!」
「…トウヤ、お前は俺に勝てると思ってるのか?」
「勝てる勝てないじゃない、勝たなきゃならないんだ!」
「そうか…。」
2人は少しだけ話し、再び向かいあった。
トウヤが銃を構えた。すると今度はイクスも銃を構えた。トウヤはイクスの銃に何かが集まっていくのを見た。
「ならば教えてやる。パンドラの名の下に…絶対の絶望を…!」
イクスは銃を撃った。しかし出て来たのは弾ではなかった。
「あれは…魔法!?」
「ゼラードが俺によこしたこの銃…俺の魔法を弾に変えれるみたいだ。つまり、最初から銃弾なんていらなかったんだよ。」
トウヤがとっさに後ろに下がった。その直後トウヤのいた場所に直径2メートル程のクレーターができた。
「……!」
「どうした?俺はまだ1%の力を出したかどうかってとこだぜ?」
イクスがさっきの爆撃魔法を連射する。トウヤはそれを避けながら反撃するも、慣性停止能力の前に全て無力化されてしまった。
「…くそっ、弾切れか!!」
「もうお終いか?」
「まだだ!!銃が駄目なら剣で!!」
トウヤは保険として装備していた剣を抜き、イクスに斬りかかった。
「おいおい、そんなおもちゃで戦えると思ってるのか?」
バキッ!
イクスも月読でそれを斬り払うと、トウヤの刀は真っ二つに折られてしまった。するとイクスはどこからか一振りの刀を呼び出した。
「……まだ俺に刃向かう勇気と根性があるなら、それを使え。それが出来ないならさっさと帰るんだな。」
トウヤは無言でその刀を握った。
「…ふん、中々根性あるじゃねえか。」
トウヤが再び斬りかかる。イクスはそれを払いのけ続けた。
「当たれよ!当たってくれよ!!」
「…こんなもんか。」
イクスがトウヤにギガグラビティをかけた。トウヤは自分にかかる普段の何倍もの重力に耐えきれず立っていられなかった。
「…ぐっ、…うおぉ…!」
「…無理すんな、今のお前じゃ無理だ。とはいえ、あっけない終わりだったな。…少しがっかりだ。」
イクスは再び銃を構え、水属性の氷魔法の弾を放ち、放たれた弾はトウヤの手足に吸い込まれていった。
「っ!ぐあぁ!!」
「もういい、お前には失望したよ。…更なる絶望を与えてやる、そうだな…今からリオンを殺す。」
「なっ!」
「恨むなら彼女を守りきれなかった自分を恨むんだな。」
イクスが城内に歩いていく。
ーくそっ、俺はリオンを守れないのか…、いや、守りたい…守らなきゃならないんだ……そんなこと…
「させるかあぁぁぁぁ!!!!!」




