決戦 〜禁忌魔法〜
「何をする気なの、イクス?」
「…ここはさっきまでいた世界じゃないんだろ?しかも、俺をここまで導いたのはオウカだった。それに、魂と器っていう概念はあるんだよな?」
「…そうね。」
「じゃあ、話は簡単だ。まずは…」
「『アポート』」
空間魔法でテレポートと対を成す魔法をつかった。イクスとイシスの前に黒の騎士、すなわち香奈の体を持ってきた。
「……?何をする気?」
「…『サーチ』。……っ!見つけた!!『コール』!!」
イクスが唱えたのは禁忌魔法の一つだった。イシスの記憶ではあれは、魂を呼び寄せる魔法だったはず。やっとイシスにもイクスの意図が読めた。
「……!イクス!あなた、そんなことをすればあなたの体が持たないわよ!?」
「…どうにかするよ。さて、いよいよ大詰めだ。…流石に辛いな…」
「やめなさい!!」
イシスの静止を振り切ってイクスは最大の禁忌を犯した。
「…『リバース』!!!」
香奈の体がが光に包まれ始めた。イクスは尚も魔力を送り続ける。
「…もう少し…もう少しなんだ…!俺の器…耐えてくれよ…!!」
イクスが魔法を発動してから10分程が経過ていた。そして、ついに…
「……ん…、イクス…?」
「よし!気が付いたか、オウカ。」
「…えっと…、私…死んだんじゃ…?」
「イクスが禁忌魔法に手を出したのよ。あなたを取り戻す為に。」
「そっか…、イクス…ありがとね。」
オウカがイクスの方に目をやると、イクスの体が少しずつ崩れかかっていた。
「…イクス…!?その体…」
「ん?ああ、結局保たなかったみたいだな。」
「…だめよ、イクス!消えちゃダメ!!」
「…だから言ったじゃない。やめなさいって。まあ、私が作ったとはいえあそこまでやってのけたあなたに敬意を表して今回は助けてあげるわ。」
「…へぇ、止める方法があるのか?」
「ずいぶん冷静ね。治せることは治せるわよ?ただし、…1000年かけて。」
「…永いな。でも、それしかないんだろ?じゃあ頼むよ。」
「わかったわ、まずあなたを封印するわ。次にあなたが目を覚ますのは1000年後ね。」
イシスがイクスの封印を始めた。
「…言い残すことは?」
「…オウカ。この間の返事まだだったな。でも、俺は言わないことにするよ。言えばオウカは辛くなるだろ?」
「…イクスが諦めなかったように、私も諦めないわ。」
「だから……って、へ?」
オウカはそれだけ言うと封印されようとしているイクスに抱きついた。
「私も一緒にいるよ。ずっと…ずっと。」
「オウカ…。」
「…全く、しょうがないわね。ついでにこれも戻しといてあげるわ、オウカちゃん…いえ、香奈ちゃん。」
「…イクス…、ううん、守…。」
イシスがこちらに魔法を放つ仕草を見せるとオウカがそんなことを言い出した。
「…っ!まさか、記憶が…!?」
「…本当に大サービスよ?一応この世界を救った英雄様だしね。あとは1000年間、せいぜいイチャイチャしてなさい、バカップル。」
イシスはフフッと微笑んだ。それは、イクスをこの世界から送り出した時と同じ顔だった。
「そうさせてもらうよ。じゃあ、また1000年後。」
イシスの皮肉にイクスも皮肉で返す。それを最後にイシスも消えてしまった。
「オウカ…いや、香奈か?どっちの方がいい?」
「もう、オウカで大分慣れたからオウカでいいよ、イクス。」
「そうか、…オウカ。この前の返事をしてなかったな。俺も、オウカの事が大好きだ。あの後一度、オウカを死なせてしまったけど、絶対に俺が守るから。…例えこの世界や俺の命を引き換えにしても。」
「…うん、ありがと。」
2人は唇が軽く触れる程度のキスをした。そこで2人の意識は途絶えた。
とりあえず、話はひと段落しましたね。でも、これで完結ってわけではない(1000年後の話を書こうかなと思ってます)のでよろしくお願いします。




