アミの願い
イクスたちは再びあの洞窟に来ていた。アミとの約束を守るためだ。
〜30分前〜
「助けに行くぞ。」
皆も異論はないようだ。
「ほんと?たすけてくれるの?おにいちゃん?」
「ああ、助けに行こう。他の皆も。」
「ありがとう!」
さっきまで怯えていたのに今では無邪気に笑ってる。いやぁ、癒されるなぁ。
「…ゴホン。イクス様?具体的な作戦をどうぞ。」
「…すまん。作戦は前と同じでいいだろう。ああ、リッカとカノンは知らなかったっけ?バッサリ言うと、俺が『テレポート』と『ステルス』で子供たちを連れ出す。それと入れ替わりにオウカ達が突入し、暴れるっていう算段だ。」
「豪快な作戦ね。私がいうのもなんだけど。」
「まあ、成功すればいいんだよ。じゃあすぐにでも向かうぞ。エミル達非戦闘員は防壁の中へ、そこで子供たちを保護しておいてくれ。」
「わかりました、任せてください!」
サラの気合いがすごいことになってる…。年上としての根性か?
ーそして、今に至る。
「さぁて、始めるか。」
そう言うとイクスは消えてしまった。
「あとは、イクスさんの合図待ちですね。」
「そう身構えなくてもいいと思うよ、リッカ。」
「オウカは気楽ね。」
「カノンに言われたくないわよ。」
オウカが皮肉を言うと皆が笑いだした。
「本当に緊張感ないですね…。この集団。」
そう言いつつもルーも一緒に笑ってるのだった。
「さて、子供達は…と。」
洞窟内に潜入していたイクスはさっきの2人を見つけた。
「ーさっきの男に言われて調べてみたんだけどよ。」
「何を?」
「いや、だから…あのガキどもがどうなるのか。」
「マジで調べたのか?」
「ああ、なんでも買い手がついた郊外に住む学者様ってのは、相当のロリ…いや、年下が好みらしいんだ。それにいらなくなったガキは新薬の実験に使われるって噂だぜ。」
「マジかよ。あのガキみたいに誰かに助けてもらえればラッキーだったのにな、他のガキども。可哀想に。」
ーその学者とやらも潰しておくか?いや、それはあとで考えるとしよう。
不意に、洞窟の奥から叫び声が聞こえて来た。…子供の声か!?
奥に進むとここは学校か何かかと思ってしまうほど沢山の子供がいた。その内の一人が商人に反抗して、殴る蹴るの暴行を加えられているのだ。次第にその子の反応が薄くなっていく。商人は
「おらおら、どうした?また逃げて見せろよ、さっきみたいに!」
などと言っている。この部屋にいる商人はその男を含めて5人だった。
「…ルー、皆を突入させてくれ。」
怒りに震えながらも、静かに言い放った。その直後イクスは転移し、その子を掠め取った。
「おい!しっかりしろ!!…っくそ!『パーフェクトヒール』!」
「おい!てめえなにもんだ?どうやって入った!?」
「…黙ってろ。」
イクスはすぐに今叫んだ男、まわりで武器を構えた奴らにも『ギガグラビティ』をかけた。
「ぐ…ぁ……!」
当然、人間が耐えられるはずもなく男たちは倒れこんだ。
「大丈夫か!?俺の事がわかるか?わかるなら返事をするんだ!」
「…ん……大丈夫だよ…。お兄ちゃん。僕がいけなかったんだ。ここから逃げようなんて考えたんだから。」
「いいや、君は間違ってなんかないよ。待ってな。俺がここから出してやる…!」
そう言うとイクスはその場にいた子供たち全員を連れて転移した。
「…!イクスさん、何ですかその人数は!?」
「エミル、この子達を頼む。皆あの中にいたんだ。」
最初に想定していた人数より遥かに多かったので防壁の範囲を広くした。更にグレードも上げる。今の防壁は物理攻撃遮断、魔力遮断、いかなる思念の類(イクスが解除すれば一定の思念は通る)すら遮断、おまけにステルスがつくといったチートと呼ぶのかどうかも疑わしい最強の防壁を作り上げていた。
「じゃあ、行ってくる。」
そう言って再びあの洞窟内に向かって行った。




