閑話 できること、望むこと
ドォン
バキッ!
ギャリッ
バチッ!
イクスと魔王はかなりの激戦を繰り広げていた。お互いの魔法や剣が次々にぶつかり合う。
「中々やるではないか。まさか我と互角とはな。」
「こっちこそ思ってもみなかったよ。このレベルについて来れる奴がいるなんてな。」
ー確かに、奴はそこそこすごい。イシスに力をもらった俺ですら、本気でやろうか迷うほどに。だけど、難しいんだよな。周りを巻き込まずに力を上げていくのは。よし、オウカのケリがつくまでだらだらやってるか。
ー魔王である我の攻撃を退け続ける、奴の力には目を見張るものがある。だが、所詮は魔族と人間。長期戦に持ち込めば、自ずとスタミナに違いが出てこよう。
という感じに戦いを激化させつつも、腹の内を探り合う2人だった。
「これで、8割くらいは倒したかしら?」
一方オウカはかなり面倒になりつつあった。イクスが半分ほど倒してなければ、正直勝てたかどうかわからない。そう考えながらも順調に敵を倒して行くオウカだった。そして戦いながら、場所は徐々に移動して行き…
「っ!オウカ!?」
「…!イクス!」
いつの間にか、イクスとオウカは同じ場所に立っていた。
「マオウサマ、ワレラノナカマノハチワリガヤラレテシマイマシタ。」
「お前らは下がれ…。ここからは我がやる。」
「イクス、こっちは8割がた倒したわ。」
「よし、オウカは皆を連れて下がってくれ。俺が残りを殲滅する!」
「…わかったわ。」
オウカとフラウたちや、魔族の軍勢すらも後ろに下がった。
「「ここからは手加減なしだ!!」」
2人の声がそろった。使う魔法の威力がさらに上がっていく。2人の移動速度、斬撃の速度も上がっていく。もう、この2人の間にはいれるものはいなかった。
魔王が『メテオ』を横向きに放つ。イクスがそれを『メテオ』で上に弾き飛ばす。イクスが闇属性魔法『カオスインパクト』を放つ。魔王もそれを同じ魔法で相殺する。2人の戦闘が続くに連れてあたり一面が焼野原となっていく。
だが、流石は魔力が無限とかいうどチートなイクスだ。次第に魔王が放つ魔法の威力が落ちていく。
「…ハァ…ハァ。…お前は一体何なんだ…!?どう考えても、1人の人間が持っている魔力量じゃないぞ…。」
「もう人間から外れてるなんて言われ飽きてるんだ。でもな、この力があるから守れるものもある。だから、俺は俺ができること、望むことをするだけだ…!」
「『オールスパーク』!!」
イクスが全属性複合魔法を唱える。魔王がそれに押しつぶされ消えていく…。
「おのれ…!これで終わったと思うなよ…。俺がしんだとしてもいつか、次の魔王が…」
そこまで言ったところで魔王は消え去った。いや、続きは?かなり気になるんですけど!?
それにしても、全属性複合魔法まで打てるようになっていたとは…ルーがいたら「どこまで常識から外れたら気が済むんですか?」とか言われそうだなぁ。
オウカたちの元に帰ると、ギルドの皆が勢揃いしていた。
「あ、おかえり。イクス。」
「イルス、カナ、聞いてくれ。これは俺たち皆で決めたことなんだが…この前、お前の提案していた『ランク制』を導入しようと思う。それに当たって2人にはSSSランクを名乗ってもらいたい。」
「「え?えぇ!?」」
最初はフラウが何を言ってるのかわからなくなってきた。だが、不意に前にユリに聞かされた話が脳裏をよぎる。
「ーまぁ、SSSは伝説級だけどね。歴史上2人しかいないのよ?」
そういうことだったのか。オウカも納得したようだった。
「ーそして、2人にはこのギルドのマスターをやって欲しいんだ。」
「…悪いけど、それはできない。」
「なんでだよ?」
「私たちはね、もうすぐ行かなきゃいけないの。」
「行くって、どこに?」
「それは、言えない。でもな、これからギルドはフラウ、お前が動かすんだ。ここに残れない俺たちの代わりに。」
そう言うと、俺とオウカの周りが淡く光り始める。この世界での役目を果たしたとイシスが判断したのだろう。
「…ごめんな。もうお別れみたいだ。」
「待ってくれ!お前にはまだ言いたいことがあるんだ!文句だって、感謝だって…もっと、もっと…!」
そこから先は聞き取れなかった。
気が付くと、2人は元の路地にいた。時間はあまり経っていないのだろう。
「ながいようで、短かったね。」
「そうだな。なあ、オウカ。この前…いや、さっきか?オウカは俺を守るって言ってくれたよな。俺も、お前を守る。どんなことがあってもオウカだけは…絶対に。」
「期待してるよ。イクス君♪」
そう言ってオウカは俺に微笑みかけてくれた。イクスは、その笑顔を絶対に消させやしない。そう決心したのだった。
やっと、閑話が完結しました。今回はちょっと長くなりすぎてしまったかなと思います。すみませんでした。本編も次回から新展開になる予定です。なんだか、主人公無双の部分が薄くなってきているような気がしないでもないですが、いい塩梅になるように頑張ります。




