閑話 偵察という名のワンサイドゲーム
ギルド内で通貨を導入してから、2ヶ月程たった。この頃にはギルドのほとんどのことをフラウが取り仕切っている。最近では通貨がギルドの外でも使われるようになり始めた。あとは、国の方か…。すると、頭の中に声が響いた。
「イクス、オウカ。久しぶりね。」
「イシスか?本当に久しぶりだな。」
「けど、あまり悠長にはしてられないの。」
「どういうこと?」
「魔族が、私の予想よりかなり早く攻めてこようとしてるの。魔族は私達より悪魔よりの存在だから干渉しづらいのよ。」
「いつ攻めてくるんだ?」
「今から一週間後よ。」
「フハッ、そりゃあ笑えるな。」
「なにいってるの、イクス!笑えるわけないでしょう?」
「…ゴホン。とにかく、それとなく他の人にも危機が迫ってると伝えるから、あと一週間でできる限りの戦力を揃えて。お願いね?」
「まあ、その為に来たんだしな。頑張ってみるよ。」
さて、どうしたもんか…。
「イルス!大変だ!!魔族がここちらへ攻めて来てるらしい。逃げなきゃ!」
「いや、逃げないさ。ここは俺たちの土地だ。魔族に渡すいわれなんてないよ。」
「じゃあ、どうすんのさ!?」
「とりあえず、落ち着いて。ギルドに所属している人を全員集めて。まずは、戦力を整えるのよ。」
「イルス、カナ(こっちも偽名)、戦う気なんだね。…わかった。皆を集めてくる!」
「…皆、よく集まってくれた。今、ここへ向かって魔族が攻めて来ている。」
周囲からざわざわと声が上がる。
「正直、勝てるかどうかはわからない。けど、俺たちは逃げるつもりは無い!ここは、俺たちが豊かにした土地なんだ。俺たちの故郷なんだ!絶対に手放したく無い!!」
オオオオオオォォォ
先程までの動揺から一転、周囲からは歓声が上がった。
「魔族がここへ来るのは一週間後だ。各自、それまでに準備を整えるんだ!解散!」
決起集会?はこれでお開きになった。戦術はあれで良かったのか?まあ、最悪俺が出ればいいか。
「イクス、私達はどうするの?」
「俺たちはできる限り手を出さない方がいいかもしれない。自分たちで守ってこそ意味があるものだしな。」
「じゃあ、このままなにもしないの?」
「いや、敵の偵察と戦力の分析くらいはするか。」
「どこにいるかもわからない敵を?」
「イシスの話ぶりだと、奴らはもうこちらに向かいつつあるんだろ?じゃあ、軍隊として来てるわけだ。それなら、『サーチ』をかけて魔力が多く集まっている所が……おっ、見つけた!じゃあ、行くか。」
そういうとイクスはオウカを連れて敵がいる位置の上空に転移した。
「…っ!」
「大丈夫だ、オウカ。既に俺とオウカに『グライド』をかけてる。落ちないよ。ついでに2人ともに『ステルス』もかけてるから、向こうから見えることも無いはずだ。」
確かにそうらしい。実際、オウカのすぐ横を翼竜にのった魔族が通り過ぎたが2人には気づかなかった。
「数は…ざっと、俺たちの倍ってところか。」
「2000人くらいね。ただ、問題は…」
「奴らは俺たち以外が使えない魔法を使えるってところだろうな。」
この軍隊を見ていても、風魔法で荷物を運んでいる。兵器の動力源も、あれは…魔臓を使ってるのか?
ー結論、あれは…やばいな。
「あの兵器はちょっとまずいな。先に消しておくか。」
「えっ?ちょっと…」
オウカが止めようとしたがイクスはやめなかった。
「『メテオ』!!」
火、土、空間の複合魔法だ。これも、イクスにしか使えそうに無いので、創生魔法に入るかもしれない。
隕石が魔族の兵器部隊めがけて降り注いだ。
「「「ぎゃああぁぁぁぁ!!」」」
隕石が降り注いだ場所が阿鼻叫喚の地獄絵図とかしていた。
「やり過ぎちまった…。」
「本当にもう。やり過ぎよ…。半分くらい消えちゃったじゃない。」
オウカはため息をつきつつも、負ける要素が見当たらなかった。




