『呪術』
「ククク…どうした?」
「……」
「そりゃあ、そうだよな?なにせお前は俺に攻撃すると、同じダメージが帰ってくるからなぁ。だが、俺は…!」
ギャン!
「何ともないんだぜぇ!」
確かに、イクスは防戦一方だった。いつの間にかイクスが落とした腕も再生してやがる。
ーどうすれば突破できる?そもそも、あれだけの魔法、いや『呪術』と言ったか?あれだけの魔法だ。消費する魔力も凄まじいに違いない…。ん?そうか、消費が激しいってことは…。
イクスは再び、ランドマークに斬りかかった。
「狂っちまったかあ?無駄だという事がわからないのか?」
「……」
ズバッ
バシュッ
ブシャッ!
ランドマークの体のあちこちに傷をいれていく。それと同じだけイクスの体にも傷が入っていく。
「『パーフェクトヒール』!」
その度に傷を癒していった。お互いに傷つき、再生していく。それを繰り返していると…
「ぐぁぁぁ!なぜだ、なぜ再生しない!?」
「魔力不足だよ。そんな強大な術を使うにはお前の魔力じゃ足りなかったんだ。」
魔力が尽き、命すらも尽きようとしているランドマークは叫んだ。
「なぜお前は平気なんだ!?なんで私はお前に勝てないんだ!?なんで…、なんで…!」
そしてランドマークは力尽きた。
ー道を外したとはいえ、俺に勝つ為にあそこまで真剣になっていたあいつに、俺の力がチートだからなんて言えねぇよ…。
自分たちの為だけでなく、こいつの為にもあの男を倒そうと決意したイクスだった。
その頃、先に進んでいたオウカたちは…
「なんか、この人たち弱くない?本当に軍人?」
「日頃、修行相手で戦ってるのイクスさんですしね。」
「仕方がないといえば仕方がないわね。」
「イクス様以外の人の常識まで…。」
圧倒的だった。イクスってどれだけ強いんだろう?全員がそう考えながら戦っていた。
一応、オウカたちも一人も殺してはいなかった。オウカ、カノンが近接部隊を気絶させ、ルー、リッカが魔法部隊を無力化していく。イクス程効率がいいわけではないが、少しずつ着実に戦力を減らしている一行だった。
「そろそろ行くか…。」
イクスはランドマークを埋葬し、オウカたちの元へ急いだ。
「イクス!無事だったのね!?」
「遅いよ、イクス。」
「…!イクスさん!どうしたんですか、その傷跡!?」
「すまない、ちょっとてこずってしまってね。」
「イクス様が手こずるなんて、相当な相手だったんですね。」
「信念こそすごかったが、力はせいぜい人間のかなり上位クラスってとこだ。今回も『あの男』が絡んでやがった。」
「それって、イクスとカナって子の敵っていう?」
「そうだ。俺はあいつを倒さなければならない。…絶対に!!そうしなければ進めない…。俺の時間はあの時に止まったままになってしまうんだ。」
「イクス…」
オウカが何か言おうとした。しかし、イクスは遮るように続けた。
「だから…、この戦争を終わらそう。そして、エウテルペへ行くんだ…!」
そうしてイクスは歩きだした。他の皆もついて行く。
イクスたちは再び進撃を開始した。先程と同じように無力化していくが、さっきまでよりも気合が入っているようだった。
とうとう、パンドラは王の間についた。イクスたちは、王の間へ足を踏み入れた。そこには…
「ここまで来たのか…。すると、我が国は戦争に負けたんだな。君たちだけでやったのか?」
「そうだ、ジョシュアの王よ。投降してくれ。こんな戦争、早く終わらせるんだ。心配するな、悪いようにしないように、ヴェルデには言っといてやる。」
「そうか、それは有難いな。しかし、その必要はない。」
そういうと、ジョシュア国王は持っていた剣で自らの命を絶った。
「「「「「なっ!!」」」」」
この行動には流石のイクスも驚いた。そして、あまりの驚きに誰一人動く事ができなかった。




