閑話 模擬戦
「いやぁ、暇だなぁ。」
「暇ねぇ。」
「今から依頼受けるってのもなあ。」
「ですね。」
現在、すごく暇である。この前ジョシュアと東でどんぱちやって以来、本当に暇なのだ。体力もありあまってるしなぁ、
「よし!模擬戦をしよう!」
「え?」
「またイクス様は突拍子もなく…。」
ルーはため息をついているが、割とナイスアイデアだと思う。だって戦力を調べるには戦ってみるのが一番だろ?
「じゃあ、昼に中庭に集合で。皆にも言っといてね。」
「え?あ、ちょっと…」
そして、昼。
「模擬戦って、ここでやるんですか?」
「私達戦えないんですけど…。」
「大丈夫だ。エミル、サラ、セラは戦わなくていいよ。怪我したやつの回復を頼む。あと、ここではやらないよ。」
そう言って転移したのはどこかの山の中だった。
「さあ、始めるぞ。俺一人対他全員で森の中にばらけて10分後スタートだ。」
10分後、
「そろそろか…。」
今回は魔法は極力控えようかな。そう考えていると、
ドゴォン!
イクスの右数メートルのところに直径5メートル程のクレーターが出来上がった。
ーえぇぇ!?
全く容赦ないなあの子ら。ちょっと傷ついたよ…。
続けて爆撃魔法が飛んでくる。それと同時にオウカとカノンが左右から襲いかかってきた。オウカの剣を月読で受け止め、カノンの大剣が振り下ろされたところを足で抑える。
「やっぱり強いわね、イクスは。」
「まだまだだね。」
ついついそんな台詞を吐いてしまった。いや、突然英語で喋ったりはしないよ?ツイストサーブとかも打たないよ?
「殺す気でいかないと、イクス様には勝てませんよ!!」
ルー、この容赦のなさの犯人は君か。ルーはそういいながらもさまざまな魔法を飛ばしてくる。
ーさて、どうしようか?
とりあえず、一人ずつ無力化するしかないか…。
オウカが斬りかかってくる。だけど、後ろにカノンが構えてる辺りこれはフェイクだろう。予想通りオウカはヒット直前で回避し、カノンが突進してきた。
「おっと…、これは一人ずつはキツイな…。同時に無力化しねぇと、解かれてしまう。」
実際、さっきカノンにバインドをかけたのだが、ルーに相殺されてしまった。
やっべ、どうしよう…。
しばらく考えてから、イクスは一つの突破口を見つけた。闇属性魔法だ。確か、闇系には特殊なのがあったはず。
「……『ファントム』、『スリープ』!」
『ファントム』は幻覚魔法で相手に幻を見せることができる。『スリープ』は…まあ、文字通りだな。
イクスは幻覚でまわりの地面をなくしたように見せ、一瞬動きを止めた隙にスリープをかけたのだった。
「足場が突然消えて、全くひるまないやつなんていないさ。って、もう聞こえてないか…。」
結局、模擬戦はイクスの勝ちで終わった。
オウカSIDE
「…ん、ここは…?」
おかしい、やたらと暖かい。さっきまでイクスと模擬戦をしていたはずなのに。あの山ってこんなに暖かかったっけ?
「やっと起きたか。ったく、大変だったんだぞ。オウカだけ中々起きねぇから。おかげでここまで運ぶ羽目になっちまった。」
まわりを見まわすとここはもう自分たちの家だった。
ーそっか、私たちは負けたのね。
つくづくイクスは凄いと思う。私たち全員と戦って、さらに私を運んでくれる……運んで……?
「ねぇ、イクス。私をここまでどうやって運んだの?」
「そりゃあ、オウカをおぶってだよ。」
ピシィ
その場の空気が凍りついた音がした。そのあと…
プシュウゥゥ
オウカが真っ赤になって倒れた。
「え?ちょっ…オウカ!?大丈夫か?」
オウカは倒れながら思った。
ーお姫様抱っことかされたかったなぁ。
今日もアポロニアは平和だった。




