暴露
イクスが帰るといつも通り、皆が出迎えてくれた。ツクヨミたちはかえったそうだ。
「おかえり、イクス。また暫くは私たち冒険者やるの?」
「…オウカ、皆を食堂にでも集めてくれ。話さなきゃならない事がある。」
「……?ええ、わかったわ。」
皆が集まるとイクスは話し出した。
「今日の防衛戦で、俺が命にかえても倒したい敵、倒さなくちゃいけない敵と会った。」
「イクスさんが命にかえてもって…」
「その前にまず、俺について話さなければならない。俺はー」
イクスは自分が神であるイシスに力をもらった事、前の世界で起きた事、悪魔の存在の事を話した。
「ーというわけで、俺は奴を追いかけてこの手で潰さなければならない。俺のためにも…香奈のためにも…。」
「………」
「どうした?」
「…えっ…と…、話が飛躍し過ぎていて…まあ、この世界で主流な宗教はイシス様を信仰してますし、イクスさんの力もむしろ納得がいくというか…」
無理もないか。かろうじてリッカが状況をまとめようとしているが、残りの面々(ルー以外)は、完全に頭の中がオーバーヒート状態である。カノンなんか今にも頭から白い煙とか出しそうだな。
「続けていいか?俺はこの戦争が終わり次第、エウテルペへ向かう。だけど、戦うのは悪魔だ。別について来いとは言わない。皆の判断にまかせるよ。」
暫くの沈黙が続いた後、最初に切り出したのはオウカだった。
「私はイクスと一緒に行くわよ。あなたと離れたくない。」
「……えーっと、…それは流石に反応に困るんだが。」
「…!い、今の無し!!えっと、そういう意味じゃなくて…そう、友達としてよ友達として!」
「…そうだよな。ハハハ…。」
一瞬、オウカ以外から感じた殺気のようなものは感じなかったことにしよう。
「私も、ついて行きますよ。あなたのパートナーですから。」
ルーのやつ、なんかパートナーの部分を強調したような…。
「私もです。私はまだ、あなたに魔法を教わりたい。」
リッカは真面目だなぁ。
「私もついていくよ。面白そうだからな。」
そんな理由でいいのか?カノン。
「私たちも行きます。私達がいないと生活感がありませんし。食事と洗濯は誰がやってるんだー、ってなるでしょう?」
2人は誰に言ってるんだ!?
「皆ありがとう。けど、まずはこの戦争を終わらせないとな。」
「そうですね。」
「どうしようか…?」
「………」
嫌な間ができる。正直、いくら戦力で一国に匹敵しようとも、たかが個人が戦争を終わらせれる訳がないのだ。それは、皆も察しているようだ。
「とりあえず、明日ヴェルデ様に相談してみるというのはどうでしょう?」
「ナイスだ、エミル。それでいこう。それと、今日はどうする?」
「何か依頼でも受けましょうか。」
「そうだな。何受ける?」
そう言ってイクスはあの水晶(ギルドにあるやつと同じもの)を操作し始めた。
「おっ、『巨竜の討伐』ってのがあるぞ。ランクSだがまあ大丈夫だろう。」
「ちょっと心配ですけど、それ受けましょうか。」
「巨竜ってどんなのかしら?」
「楽しみですね。」
「面白そうね。」
と、それぞれの形で同意をしてくれた。
「あ!この依頼、明日からだ…」
「「「えぇー…」」」
結局、その日は何もしなかったイクスたちだった。




