解放コード
「あいつ元気にやってるかなぁ。」
イシスはため息をついた。そりゃそうである。何点か説明し忘れたことがあるのだ。
・魔力封印の解除、再封印コード
・常識
二つ目はともかく、一つ目はヤバイ。下手をすればその世界を壊してしまうのだから。
ーどうにかなるか。まぁ、パートナーもつけたことだし。
そう楽天的に考えるイシスであった。
その頃、イクスはかなり困っていた。なんせ人が倒れているのだ。
「人が倒れていますね。」
ーわかってる。
「どうするんですか?」
「助けるさ。悪い人じゃなさそうだし。」
そういうと、このドラゴンは回復の呪文を唱えた。こいつ…じゃなくて、彼女はルー卵から生まれた俺のパートナーだ。
「そういえばイクス様の魔力って感じられませんよね。私に魔力は供給されているのでないわけでは、無いわけではないでしょうけど。」
「ん?あぁ、俺の魔力は諸事情で封印されているんだ。」
「そうなんですか。私を召喚するくらいですから、すごいってのは想像できますけど。」
「ルーってそんなにすごい奴なのか?」
「失礼な!私は本来神々しか召喚出来ない神獣クラスに分類されるんですよ!あ、ちなみにその下が、霊獣クラス、幻獣クラス、人間界での上位クラス…と続いていきます。」
とルーがは必死に説明しているが、聞いていなかった。そういえば、魔力解放ってどうやるんだ?命の危機になっても魔力解放されなければ意味ねぇじゃねえか。やっぱ適当だな、イシス。
そんなことを考えていると、俺らの目の前にイシスが現れた。ただ、
「なんで、タンクトップにパンツなんだ!?神様の威厳ねぇよ!!」
「あなたでしたか。彼に力を与えたのは。」
「っ!ルー、こいつを知ってるのか?」
「知ってますよ。なにせ私を作ったのはこの方ですから。」
「仲がいいのはいいけど、そろそろしゃべってもいい?今回私は魔力解放のコードとこの世界の常識を伝えにきたんだよ。」
〜説明中〜
「最後に魔力解放のコードだけど、『 前世の君の名前 』だよ。言語の形式は問わないけど、口にすれば魔力が完全に解放されるからね。再封印のコードは自分で設定してね♪普段は最高出力をその手につけてるブレスレットでおさえてるから。」
あ、本当だ。手に指輪ついてる。再封印のコードどうしようかなあ。
「じゃあ、そういうことでここから西に行けば、町があるよ。とりあえず冒険者にでもなっとけば?というわけで、町に着いたらギルドってとこ行きなさい。じゃあねぇ〜。」
いうだけ言って、消えてしまった。勝手な奴め。
走行しているうちに、この行き倒れが目を覚ました。げ!また、女の人じゃねぇか。
「ここは…?っ!!」
突然跳ねたように距離をとられた。ちょっと傷ついたぞ。
「大丈夫。何もしないよ。君が倒れてたから助けただけ。良ければ、なんで倒れたのか教えてくれない?」
「何でって、お腹が空いてただけよ。まぁいいわ。助けてくれてありがとね。私はこれから西の町にいくから。」
「本当?俺らも西の町にいくんだ。一緒に行っていいか?」
「べっ、別にいいわよ!突然変なこと言わないでよ!あなた、名前は?」
変なこと言ったかなあ?
「俺の名前はイクス。君の名前は?」
「私の名前は、オウカ。よろしくね。」
こうして、俺とオウカは一緒に西の町へ行くことになった。ルーが膨れっ面してるのは見なかったことにしよう。