挟撃
国境防衛戦から2ヶ月ほど、ジョシュアは大きくは攻めて来なかった。小競り合いは度々あったが。
「最近平和ですね。こうも静かだとなんか怖いです。」
「でもまあ、大抵のことで落ちないでしょ、パンドラは。」
エミルとサラは買い出しに来ていた。セラには家で掃除兼留守番を頼んでいる。残りの5人は絶賛冒険者としての仕事中だった。
「2人とも早く帰って来てよ〜。この広さは一人じゃ無理だよ〜。」
掃除を頼まれたセラだったが、広すぎるのだ。セラは半ば心が折れかかっていた。だが、皆が帰って来た時にがっかりさせたくないと思い、また頑張るのだった。
「こっちは終わったよ。」
「イクス様、こちらも終わりました。」
イクスたちはリッカのランクを上げるために、依頼を受けにきていた。今回は幻獣クラスのモンスター3体の討伐だった。
「よし、じゃあ早く帰ろう。腹も減ったし。それに…」
「どうしたの、イクス?」
「具合でも悪いのですか?」
「大丈夫かよ…。」
オウカ、リッカ、カノンが心配してきた。
「いや、大丈夫だ。それより早く帰ろう。」
なんだか、嫌な予感がする。早めに帰った方が良さそうだ。
その頃、エミルの元にヴェルデの使いがやって来ていた。
「エミル殿、イクス殿はおられるか?」
「…今は依頼にでておりますけど…。用件なら私が聞いておきます。」
「国王からの招集です。出来るだけ早くきて欲しいとのことです。」
「わかりました。伝えておきます。」
それから一時間程してイクスたちが帰って来た。エミルが事情を話すと、とりあえずイクスが行くことになった。
「何かあったのか、ヴェルデ?」
「依頼直後に済まないね。ここのところジョシュアからは音沙汰がなかったが、彼らがとうとう動き出した。それも北側の隣国『ネイブ共和国』と手を組んで、同時にここへ来るらしい。また、パンドラには働いてもらうよ。」
「構わないさ、だが少し戦力不足だな。」
そう言うとイクスは首飾りに魔力を込めた。すると、目の前にツクヨミたちが転移してきた。
「久しぶりだな、イクス。雰囲気が落ち着いてきたな。」
「よう、ツクヨミ。奥さんと子供さんは元気か?」
「ああ、おかげさまでな。で、今日はどうしたんだ?」
「俺たちが住んでる国で戦争が起きてる。戦力が不足しそうだから、手伝ってくれ。」
「そう言うことだ。私の名はヴェルデ、この国の国王をやらせてもらっている。どうか私に力を貸して欲しい。って、イクスくん、君の人脈がわからなくなってきたよ…。まさかの神獣って…」
「まぁいいだろう。悪い奴ではなさそうだ。」
「じゃあ、よろしく頼むよ。」
イクスはツクヨミたちと一緒に城に戻った。
「皆、集まってくれ。また、パンドラの出番だ。」
皆が集まってくると、まずはお互いを紹介した。
「こっちはツクヨミ、そして神獣の里の皆。この前依頼で知り合ったんだ。そして、こっちは俺の仲間だ。端からオウカ、ルー、カノン、エミル、サラ、セラだ。」
「1人、人間では無いようだが…?」
「ああ、ルーはツクヨミと同じ神獣だ。」
「了解した。ては本題に移ろう。」
「そうだな。…まずは戦況について説明しよう。今回は、東の隣国ジョシュアと、北の隣国ネイブに挟み撃ちにされてる。なので、この部隊を2つに分ける。東はルーと、ツクヨミに任せる。2人が指揮をとってくれ。」
「わかりました。」
「わかった。」
「人員は好きな数連れていくといい。北は俺が行く。取り敢えず非戦闘員は城に待機。以上だ、準備が出来次第出撃する!」
そして、10分後、俺たちは北へ、ツクヨミとルーたちは東へ向かった。




