我儘
王宮の広間の更に奥にある『王の間』、そこにイクスが一行は転移した。
「やあ、イクス君。来るなら事前に言ってくれよ。ほら、周りがパニクってるじゃないか。皆この人は私の客人だ!怪しい奴じゃない!!…で何の用かな?」
「前にあんた、俺たちにある程度の我儘なら聞くって言ったよな。じゃあ、言わせてもらう。すでに登録されたこの人たちの身分を抹消しろ、そんで通常の市民としての身分をやってくれ。」
「なかなか無茶を言うね。いいだろう、それくらいならやってやる。貸し一つだよ?」
「いいさ。この国の危機にまとめて返してやる。」
「心強いね。で、王宮前に捨てられてた…裏奴隷商人達はどうするんだい?」
「この国の法で裁いてくれ。じゃないとこの子達が報われない。」
「わかった、明日には身分も出来てるはずだ。それ、冒険者としての依頼なら、早く報告した方がいいんじゃない?」
「そうだな、じゃあ俺たちは帰るよ。」
オウカSIDE
ギルドに報告へ戻る途中、元奴隷の5人が小声でオウカに尋ねた。
「あの人って何者なんですか?王様とタメ口で話してるし。魔法をあんなに当たり前のように使うなんて。」
「あいつはね、この前ちょっとやらかしちゃったんだよ。ほら、ここの兵隊さん、ちょっとビビってるでしょ。ここの軍隊、あいつが潰しちゃったのよ。」
「はい?」
「だから、潰しちゃったのよ。一国の軍隊を。」
「あの人達を瞬殺したあたり、すごく強いのはわかってましたけど、凄過ぎません?」
オウカは黙ってしまった。
ーそんな事、私もわかってるわよ。まさか、任せろってヴェルデさんに頼むなんて、普通の発想じゃないわね。
そう思うオウカだった。
ギルドにつくと、思いのほか冒険者で溢れていた。まあ、昼下がりだから当然か。ちょうど午前に依頼を受けた連中の報告と、午後から依頼を受ける連中が重なっているのだ。ならば、この混雑も仕方ないだろう。
受付にいくと、ユリがいた。
「おかえり。やっぱりというかなんというか、早かったね。一応AAランクだよ?早過ぎて本当にやったかちょっと疑うよ…。」
「証拠に…ほら。」
「ああ、この子たちがそうなの。OKならば、これで依頼完了です。じゃあ誰か一人Aに昇格だけど…って多分ルーよね。」
「ああ、ついでにチーム申請も頼む。」
「わかったわ。で、その子たちはどうするの?」
「身分に関しても、働き口に関しても大丈夫だ。」
「そんな、我儘通るのあなただけよ?いいわ、じゃあ任せたわよ。」
その後、城にもどり、自己紹介を始める。
「俺はイクス、そんでこっちがオウカ、でこの子がルー。俺ら冒険者やってるんだ。さっきの戦闘見てたからわかるかもしれないけど、こいつドラゴンだから。じゃあ、自己紹介とあれば質問どうぞ。」
「私はリッカです。前まで冒険者やってましたが、家庭の事情でこんな事に…。質問なんですが、イクス様は一体何種類の魔法を使えるんですか?」
「えっと、一通りはいけるけど便利だから空間系を多用してるかな?」
「空間系を…多用?」
「イクス様、自重してください。空間系、時間系はとてもレアなのですよ?」
「そうですよ。少なくとも多用出来る人は見た事ありません。」
集中砲火を受けた。そんなにすごい事なのか?
相変わらず自覚のないイクスだった。
「私はエミルです。元の実家で店を手伝っていたのですが、連れてこられました。質問は特にないです。」
「私はカノンよ。私も冒険者をやってたんだけど、任務先でちょっとね…。質問は私たちはこれからどうすればいいの?」
「それも今から答える。」
「私たちは双子で、サラとセラです。見分け方はサラがポニテ、セラがツインテです。質問はないです。」
「よし、じゃあこれからなんだけど…俺たちのところで働かないか?特にカノンとリッカはチームに入って欲しいし。」
すると、全員が承諾してくれた。当たり前か。皆帰る家がないらしいし。
その後、第0部隊のことなどを説明した。
「ーあと、この城は好きに使っていいから、お金の管理はエミル、掃除洗濯、料理はサラとセラに仕切ってもらおうかな。そして、リッカは俺に魔法を教えてくれ。」
「「「「「わかりました。」」」」」
「じゃあ今日は自由にして。」
そうして一先ず解散した。また、ヴェルデのところにいかないとなあ。




