国王の謝罪
イクスご広間につく頃にはすでに全軍の80%が壊滅していた。
「あらかた無力化したか…。」
「いやぁ、すごいね。さすが初任務でワイバーンを倒しただけのことはある。」
「誰だ!」
「私の名はヴェルデシュタイン、このアポロニアの王だ。」
「…そうか。ちょうど良かったあんたにはいろいろと聞かないといけないことがあるんだ。」
「そう怖い顔をしないでくれ。その事については謝ろう。確かに命じたのは私だが、よもや我が軍が盗賊にあの子を引き渡すとは思わなかった。本当に済まなかった。」
「…………」
「その上で、厚かましいと思うが私の願いを聞いてはくれないだろうか。」
「少し待っていろ。」
そう言うとイクスは再び転移魔法を使った。その行き先は…
「!どうしたのですか?イクス様。」
「…イクス、どうしたの…?」
ルーとオウカのいる宿舎の一室だった。やはり、オウカはまだ元気がない。
「……。オウカ、ルー、ちょっと来てくれ。行くべき所、話すべき人がいる。」
「わかりました。」
「…………うん。」
あの時の事がよほど怖かったのだろう。そう思うと、許す気が無くなりそうだった。
「…『テレポート』」
「そうか、彼女達を連れて来たのか。」
「俺に謝るな。まずオウカに謝れ。話はそれからだ。だがもし、オウカがお前を許さないなら、この国を潰す…!」
「そうだな。彼女にも謝らねばなるまい。本当に済まなかった。」
「……正直、あのオーク達は許せない。それを命じたのがあなたならばあなたも…。だけどここで赦さなければ、この国が滅んでしまう。人々には何の罪もないのに。」
「そうか、心の底から感謝する。では、話してもよいかな?私の願いを。」
「まあ、いいだろう。話してくれ。」
「この国はここ数年で出来たばかりでね。軍隊は第1部隊から第13部隊まであるのだ。イクス君は既に戦ったからわかると思うが、我が軍はまだまだ弱いのだよ。」
確かに、全く統率のとれてない連中だったし、個々の力にもムラがあった。
「だから、私はいざという時の最後の砦としてもう一つ部隊を作る事に決めた。それも存在を隠せる程少数でかつ、最強の部隊を。君たちにはその部隊だを預かってもらいたい。」
「なんで俺たちが?」
「君たち、特にイクス君は盗賊の洞窟、そして先ほど、一騎当千の力を見せてくれた。私は元は君にそれだけの力があるかを試すためにあの命令を下したのだ。そして君は期待以上の成果を見せてくれた。理由などこれで十分だと思うが。」
「俺たちのメリットは?」
「町外れになるが、豪邸を用意しよう。あまり大々的には出来ないが、そこを部隊本部にするといい。冒険者の仕事も続けてくれて構わない。あくまで緊急時の最終兵器という役割だ。それに、大概の我儘も善処しようじゃないか。まあ、無理なものは無理だけどね。あとは、生活費その他必要経費として、毎月白金貨2枚を出そう。幸い我が国は金だけは余っているのでね。戦争需要ってやつだ。」
そこまで話すと、オウカの目の色が変わった。うん、変わってたね。写○眼でも開いたんじゃないかってくらいに。
「わかったわ。その話受けるわ!」
切り替えはやっ!ルーもちょっと呆れ顔してるぞ?
「まあ、オウカがいいなら構わない。」
「私も異論はありません。」
「ならば、決まりだ。別室に服屋がいるから、採寸をして来てくれ。制服を作る。終わったら今日は帰っていい。出来上がったらまた呼ぼう。」
その後、イクス達はそれぞれ採寸を終え、宿舎に戻った。こうして今回の事件は幕を閉じた。




