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これなんて無双ゲー?  作者: TOTO
始まりの場所 ~the Place of Beginning〜
13/82

覚醒

イクスは森の中を全力で駆け抜けていた。


「くそっ、なんであいつが…!あいつになにかあったらここら一帯ツブシテヤル…。」


はたから見れば人の枠を完全に忘れているかもしれない。それも仕方が無いかもしれない。オウカがイクスに惹かれていたように、イクスもまた、オウカに惹かれていたのだ。最も本人は無自覚だが。


ー時は一時間程前に戻る。


「はあ?なんて?」


「だから、オウカがさらわれたのよ。私もアルさんも運悪く外出していて、ギルドには低ランク冒険者しかいなかったの。ほとんどの人が意識を失っていたんだけど、残った人たちが『サーチ』をかけたところによると、ここから東の森を抜けた洞窟に連れていかれたらしいわ。あそこはここらでは有名な盗賊『アンチレイズ』のアジトになってるの。アルさんは何故か王宮に呼び出されてるし、私が行くよりあなたがいった方が速いわ。だから、助けに行ってあげて!」


ユリの話を最後まで聞いてなかった。話の途中でイクスは東に駆けた。人間のものではないスピードで。


置き去りにされたルーはというと、


「話を途中までしか聞かないで…。もう完全に惚れちゃってますね。」


「そうだね、って焦らないの?友達なんじゃないの?あと、あなたルーなのよね?」


「そうですよ。今は人型ですが。イクス様なら大丈夫でしょう。とてつもなく強いですし。むしろ盗賊に同情するくらい。」


「へ、へぇ。かなり信用してるのね。まぁいいわ。私は王宮にいるはずのアルさんに連絡してみるね。」


そういうとユリはまた、ギルドの方に駆け出した。


そのころ、


「今度は守ってみせる。自分の大切な人を…。その為にもらった力じゃねえか!」


だから今度は逃げない、あの時と違って…。


「そしたら君たちは俺を笑わないかな、守、香奈…。」


イクスの身体から途轍もない量の魔力が溢れ出た。イクスは解除コードを唱えたのだ。魔力と一緒に意識の奥底から、魔法の知識も溢れ出す。これは…使える!


「『テレポート』!!!」


イクスが叫んだのを最後に森に静寂が戻った。


王宮では、アルがまた困った顔をしていた。呼ばれた理由はただの定期報告だが、今回は直接呼ばれた上に、何故か帰してもらえないのだ。


「いつになったらここからだしてもらえるのですか?」


近くにいた執事に聞いてみる。


「申し訳ありません。アル殿。理由は言えませんがあと一時間程は無理でございます。」


さっきからこの一点張りなのだ。怪しく思いつつも、待つしかないアルだった。



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