試し斬り
次の日の朝、部屋のドアがノックされる音で目を覚ました。部屋がやけに静かだ。ルーのやつ、昨日テンション上げすぎて寝るのが遅くなったのかな?そしてノックのの主はというと…
「おはよう。イクス、起きてる?私よ。オウカよ。入るね。」
そういうとオウカはドアを開けて入ってきた、のだが。
「きゃあああ!誰よその女!?」
あ、ルーのこと説明するの忘れてた。
「違うんだ、こいつはルーであのドラゴンだ。って、なんでこんなに必死に説明しないといけないんだ?」
当の本人はというと…寝ぼけてやがる。はやく目を覚ませ。
その後いろいろあった。本当にいろいろあった。主に俺が生命の危機に立たされたり、窓から投げ捨てられそうになったり、だ。
5分程してようやく落ち着いたオウカに事情を話す。
「ーというわけで、こいつはドラゴンだが、人型にもなれるらしく、あの小型の時よりも人型の方が楽だそうだ。だから、俺はやましいことはなにもしていない。普通、妹的存在に手を出す兄がいるか?」
「人によってはあるかも…だけど、イクスにそんな趣味があるとも…、まあいいわ。許してあげる。」
という風に納得してもらい事態は収拾した。
朝食をとった後、ギルドに行ってまた働かなくてはいけないのだが、俺にはその前に用事があった。
「オウカ、ごめんな。俺はまた用事があるから、今度はルーにもついてきてもらおうかな。だから悪いけど先に行ってて。」
「わかったわ。じゃあ先にギルドで待ってるね。」
そしてルー(人型)と一緒に昨日の店に訪れた。店は開いているようだ。
「すみません。昨日ダンさんと約束をしてきたんですけど…。」
「ん?ああ、昨日の坊主かい。すぐ呼んでやるから待ってな。お〜い、ダンさーん。昨日の奴が来てますぜ。」
「おう、わかった。」
という声と同時にダンさんが出てきた。昨日と比べると、目の下の隈が目立つ。
「いや、スマンスマン。昨日は徹夜だったんでな。レアな素材だから、ついテンション上げすぎちまった。」
俺の周りにはテンション高い奴しかいないのか?
「これが昨日のいってたら剣の完成品だ。試しに切ってみるか?」
そういうとダンさんは、奥から丸太をだして来た。イクスは剣を握って構える。日本でいう『居合』に近い構えだった、独学だが。
ズバッ!
そんな擬音がふさわしい程、キレイに切れた。
「すごい切れ味ですね。さすがドラゴンの爪だ。」
「すごいだろ?もっと上位種になると金属でも切れるらしいぜ。」
いつか使ってみたいと密かに思うイクスだった。
「ここからは、商売のはなしだ…って、今日は彼女連れかい?しゃーねーな、サービスしてやるよ。値段は4割引込みで銀貨3枚だ。Bランク冒険者のイクスくん。」
そっか。店にもあの水晶がないと割引とかの制度が複雑になるのか。あと、ルーは彼女じゃないけどラッキー♪
「わかりました。はい、代金です。」
「おう、毎度。またよろしくな。」
武器屋を後にする2人だったが、イクスは次もあそこを利用しようと心に決めたのだった。
2人がギルドに向かう道中、こちらに走り寄ってくる人物がいた。ユリだった。なんか、とても深刻な顔をしている。
「2人とも、ちょうど良かった。武器屋の割引使用履歴があったからこっち来て正解だったわね。」
「そんなに急いでどうしたんだ?」
「オウカが…さらわれたのよ!!」




