36:カラオケ
最近しんみりした話ばかりでアクセス数等々に影響が出て来たので少し笑いいれちゃいました。
あと、今回は少し長いです。
「なあ遥、今日の晩飯は何がいい?」
「うーん、カレーとかどうかな?」
「カレーか……、よし分かった、今日はカレーにしよう」
「え、いいの?」
「ああ大丈夫だ。あ、でもクッキー作る時間がなくなりそうだな……」
「あ、クッキーはまた今度でいいよ」
「そうか」
僕は遥と一緒にスーパーに向かって帰り道を進んでいた。
今、会長や舞花さん、それに珠里は明日のパーティーに向けて必要なものを買いに行っているはずだ。
その間僕は遥の不安が大きくならないように行動しなければならない。
「ねえ悠、最近私に隠し事してない?」
ーーギクぅ。
急になに言い出すんだこいつ。
しかしこの動揺を悟られまいと僕は表情をなるべく変えないように努力する。
「な、なにいってるんだよ。してないよそんなこと」
「本当に?」
「本当だって、何でそんなこと聞くんだよ遥は」
「だって最近悠と珠里の様子が変だったから……」
「別に何も変わってないよ」
「なら、いいんだけど」
遥は全く納得をしてない様子で言葉を吐く。
ーーしかし辛過ぎるぞこの状況。すぐにでも嘘がばれそうだ。
「じゃあさ、明日私の誕生日なのって覚えてる?」
「ブッ‼」
「あ、ゆ、悠大丈夫⁉」
ーーさ、さらに追撃⁉
こ、ここは自然に会話をしなければ。
「い、いや、何でもない。で、遥の誕生日がどうしたって?」
「あ、うん。昨年の今頃はパーティーしてたからさ、今年はしないのかなって」
「あー、それは……」
「何、やっぱり言えないような秘密があるの?」
遥の問いに答えられない事情がある僕は周りに目を泳がせる。
ーーど、どうしよう。
そのとき追い詰められていた僕のところに奇跡がやってきた。
「あ、遥と悠じゃん。偶然だね」
その奇跡とは委員長である。
あとで聞いた話なのだが、この日委員長は遥のことが心配でつけていていたらしい。
「お、委員長。偶然だな」
「明里どうしたのこんなところで」
「ちょっと用事があってね」
委員長の登場で遥は不満気ながらも質問を取り下げてくれた。
「それよりさ、二人は今暇かな?」
「暇だけど」
「なら今からカラオケにでも行かない?」
「え、今から? でも委員長さっき用事があるって……」
「あー、もう済ませたから大丈夫だよ」
「なら僕はいいけど」
委員長が少しバツの悪そうに言う。
しかし委員長がこの後一緒にいてくれれば僕は少し楽になる。
正直隠し事をしている相手と二人きりっていうのはつかれるのだ。
「じゃあ遥はどうかな?」
「私も構わないよ」
「よっしゃ、じゃあ決まりだね」
そう言って委員長は歩き出す。
まあ、二時間程なら問題ないだろう。
正直予想外の展開だけど事情を知っている委員長が一緒なのは気持ちがに楽になるし。
「ーー貴方に出会ってから早まるこの思い〜〜♪」
そしてカラオケに着いた僕達は早速歌っいた。
今は遥が流行りのラブソングを歌っている(無茶苦茶上手い‼)。
その隙を見て委員長が僕に耳打ちしてくる。
「実はさっきまで二人のことつけてたんだ。それで悠君が困ってたからつい出て来ちゃった」
「そうなのか。通りで僕に都合いいタイミングでやってきたわけだ」
「うん、そうゆうこと」
僕と委員長が話している間も遥は気付かない様子で歌を歌い続ける。
そして遥が歌い終わった後に出てきた点数に僕達は驚愕した。
「きゅ、九十八点……」
「遥、また腕を上げたな」
「え、そうかなー」
遥は褒められてまんざらでもなさそうに頭に手をやる。
委員長なんか見た点数が高くて呆然としている。
そんな中次に僕が予約していた曲が流れ始める。
「よしっ、やるか‼」
「悠君ファイト‼」
呆然状態から帰ってきた委員長が応援してくる。
テンションの上がった僕は歌い出したーー。
ーー曲終了後。
「あははははっっ‼」
「くそっ、なんだよ」
「悠ってこんなに歌下手だっけ?」
「遥まで⁉」
正直に言おう。
結果は酷かった、点数にすると三十四点。
おかしい、一年前なら九十点台位簡単に出せたのに。
「しっかし下手……じゃなくて独特だね悠君の歌い方、ププッ」
「おかしいなー、悠性格変えてからもしかして歌い方まで変わった?」
「ハッ、まさかーー」
遥の言葉に僕は愕然とする。
ーーそんな馬鹿な‼ 性格変えたといっても一人称俺から僕に変えて、少し穏やかになっただけだぞ‼
しかし頭の中のもう一人の自分が理由はそれだと指摘してくる。
「おっと次は私ね」
そう言って委員長がマイクを取って歌い出す。
「ーーあのとき見た景色がまだ忘れられない〜〜♪」
委員長も上手い、遥程ではないが九十点台には届きそうだ。
そして予想通り画面には九十一点が表示される。
「うーん、やっぱり遥には叶わないか」
「いや明里も凄いよー」
「そうだ、委員長は凄い」
そして僕の自信が削がれてゆく。
このあとの二時間で僕は歌下手の称号をほぼ思うままにした。
ーーえ、なんでほぼかって?
そりゃあ最後の最後に昔の感覚を取り戻せた僕が、
「九十九点……」
「やっぱり上手いね、悠」
「や、やっと、出来た‼」
本日最高得点を出したからだ。
しかしさっきまではキツかったーーなんだあの羞恥プレイは⁉
その後店を出て委員長と別れた僕と遥は家に向かって歩き出した。
楽しんでいただけましたか?
いやー、悠の以外な歌下手でした。まあ、最後には高得点出してましたが。
感想、評価待ってます。
ではまた。




