35:嘘
お楽しみ下さい
「どうしたんだい遥は?」
「会長……」
生徒会室に着いても遥の様子は変わらなかった。
その様子を敏感に感じとった会長と舞花さんは戸惑いながらも僕と会長が二人で話せるよう遥を生徒会室の外に移動させた。
つまり今生徒会室には僕と会長しかいない。
「その、色々ありまして」
「私に言えないことなのかい?」
「それは……」
僕は少し言い淀んでしまう。
言えないわけじゃないか。
隠し事をしていたせいだなんて。
会長や舞花さんには責任を感じて欲しくないのだ。
ーーしかし時音 サーニャという人間はその思いを貫こうとしてくる。
「じゃあ質問を変えよう。どの位深刻なことなんだい? 解決策はあるのかい?」
「とても深刻です。ですが解決策がない訳じゃないです。だけど……」
「だけど、の続きは?」
「……どうしても話さなくちゃダメですか?」
「少なくとも君がそんな顔をしている間はね」
ーー叶わないなこの人には。
僕は会長に全てを話した。
ーー数十分後。
「まさかサプライズとゆう形がこんなことになるとはね」
「はい、僕も想定外でした」
「しかしそうゆうことなら今日は遥と一緒に帰ってあげな」
「え、でも準備が……」
「構わないさ、あとは買い物に行くだけだ。まあ珠里は貸してもらうよ?」
「分かりました」
「なら早く教室に行きな。もう朝礼の時間だ」
僕は会長に催促されて教室へ足を向けた。
ーー放課後。
「遥、一緒に帰ろうぜ」
「え?」
悠が私を下校に誘ってきた。
「うんっ、いいよ」
「そっか、じゃあ昨日出来なかったクッキー作りもしたいからスーパーよって行っていいか?」
「もちろんだよっ」
ーーやったクッキー作り出来る‼
昨日帰ってきたときはしてくれなくて忘れてるんじゃないかって心配してたんだよね。
今日の悠を私を避けてないようだ。
それが分かると私の調子はいつも通りに戻り始める。
「じゃあ早く帰ろ?」
「ああ、そうだな」
そして廊下に出たときに生徒会室に向かう珠里が目にはいる。
ーーあ、生徒会。
すっかり忘れてたよ。
「ねぇ悠、生徒会室に行かなくていいの?」
「あ、ああ。今日はすることないから行かなくていいって言ってたぞ」
「え、でも珠里がーー」
「ほ、ほらそんなことより早く行こうぜ」
「悠?」
悠は焦りながら珠里が向かったのとは反対の方向ーー下駄箱へ歩き出した。
私はそんな悠の様子に嘘を見ていた。
さて話の内容に少し矛盾が出てきたような気がしてきた春風桜花です。
この話を編集して矛盾を直したものを電撃大賞に応募する予定なのですが、どうやら編集作業に追われて矛盾を直した改稿版を投稿できなさそうです。
あ、次話投稿は今まで通り続けます。
ではまた。




