34それぞれの不安
お楽しみ下さい
ーー委員長と遭遇した次の日の朝。
そこにはいつも通り登校する僕達の姿があった。
ただ少し気がかりなのは昨日から遥の様子がおかしいのだ。
何がおかしいのかって?
「いやー、昨日悠と珠里が買ってきたケーキ美味しかったねー‼ しかし悠も珠里と一緒にケーキ買いに行ってたなんてねー」
「あ、ああ。ごめんな何も伝えずに僕まで寄り道しちゃって」
「何言ってるのー? 昨日悠も一緒にケーキを買ってきてくれて嬉しかったんだよっ」
「そ、そうか」
ーーそれは昨日からずっと機嫌が良いのだ。
今も話している間ずっとニコニコ笑っている。
それに僕と珠里はそんな一見ご機嫌に見える遥に対して違和感を覚えていた。
「ねえ、お兄ちゃん……」
「ああ……」
珠里は笑顔で話しかけてくる遥を見ながら言葉をかけてくる。
多分こんな様子の遥を見るが辛いのだろう。
僕と珠里の顔に影がさす。
「どうしたの暗い顔してー、私の話を聞いてよー」
僕達が遥に感じている違和感、それはーー。
ーー遥の目だった。
遥はまるで何かにすがるような目をしながら笑顔で話してくるのだ。
まるで小さな子供母親に見てもらえるように必死に笑顔を振りまくように。
「ねえ、辛くないの遥?」
「何が? 私は幸せだよ」
「そうじゃなくてーー」
「やめよろ珠里」
「お兄ちゃん……」
僕は首を振りながら珠里の肩に手をおく。
しかし僕達が遥に隠し事をしたせいで遥がこんな風になってしまったのも事実だ。
(どうしようか?)
遥の誕生日まではあとたった一日だ。
でもそのたった一日がそのときの僕には一番の修羅場に思えた。
ーー私何してるんだろ?
昨日明里にアドバイスをもらったはずなのにな。
なのに今の私はまるで子供のように二人にすがっている。
客観的に見れば自分がダメになっているのがわかった。
別に二人が隠し事しているからって私に対する態度が変わったわけでもないのに。
ーーどうすればいいのかな?
表面は笑顔で、でも内心には不安を抱きながら私は通学路を歩いていった。
今回のお話は少し短くなっちゃいました。
何せ最後の締め方は思いついているのにそれまでの過程が思いつかない。
何か良いアイディアが浮かぶ曲や方法があれば教えて下さい。
ではまた。




