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25: 出汁巻き卵

今回は料理回となります

結局あの後、血涙をながすような気分で激マズクッキーを全て食べた僕達三人は食欲をなくし、晩ご飯を食べなかった。

だが間食ーーもとい夜食は食べていた。

え、何でかって?

それはーー


「だからなんでそこでバニラエッセンスと牛乳と砂糖をいれようとする‼」

「だって出汁巻(だしまき)(たまご)なんだから出汁いれなきゃだめでしょ?」

「あのね遥、私は出汁巻き卵の出汁(だし)(かつお)だしとかの方が美味しいと思うんだ」

「甘い方が美味しいと思うんだどな。ーーあ、二人ともまた出来たよ」

「ああ、ハムッ。甘っ、死ぬ程甘っ。水、水ーー」

「ゴクッ。……喉が甘過ぎて死んじゃうよぉぉぉぉっ‼」

「二人とも大丈夫⁉」


みたいな感じでかれこれ一時間程遥流出汁巻き卵を食べているからである。

しかし遥の料理風景を見て思ったのだが、遥は自分が美味しいと思ったものをいれようとする傾向がある。

ーー例えその料理の結末が悲しいものになろうとも、だ。

まあ、おかげでさっきから普通の出汁巻き卵から先程のような激マズ出汁巻き卵まで幅広く味わっているのだが。


「おい遥、一度僕に作らせろ」

「え? 別にいいけど」

「……やった、ついにまともな料理にありつける」(ボソリ)

「珠里何か言ったー?」

「ううん、別に」


しかしこれ以上遥の激マズ料理を食べていても拉致(らち)があかないしこちらの身も保たない。

とゆうわけで一度僕が遥に見本を見せる為にキッチンに立つ。


「遥、よく見てろよ」

「うん」

「はいお兄ちゃん、卵持って来たよ」

「お、サンキュー。じゃ、始めますか」


そう言って僕は卵を割って調理を開始した。

ちなみに出汁は家にあっためんつゆを薄めたものだ。


ーー十分後。


「やっぱり悠は凄いねー」

「さっすがお兄ちゃんっ」

「おいおい、そんなに褒めても何も出て来ないぞ」


我が家の食卓には見事な出来の出汁巻き卵が置いてあった。

我ながいい出来栄えだと思う。

僕達は息を合わせて合唱する。


「「「いただきます‼」」」


そして出汁巻き卵を口に頬張る。

こ、これはーー


「美味い‼」

「美味しい」

「お兄ちゃんサイコー」


そう、美味かった。

食感はふわふわしていて、出汁の味がしっかり染み込んでいる。

玉子は僕の考える一番の味になっていた。

その後も僕の作った出汁巻き卵を食べていたのだけれど、ひとつ忘れていたことを思い出す。


「そういえば今何時だ?」

「わかんないけど。ーー珠里そこから時計見える?」

「うん、見える。少し待って」


ーーそう時間だ。

遥の料理に夢中になって忘れていたけどかなりマズイ時間になっているような気がする。

まあ、悪い予感とゆうのは昔から得てして当たるもので、珠里の口から時間が吐かれる。


「えっとね、十一時三十分だよ」

「え? もうそんな時間」

「……」


珠里の言葉に僕は黙りこんでしまう。

だってもういつも寝てる時間まで三十分しかない。

ーーどうしよう、まだシャワーも浴びてないのに。

僕は少し強張った表情で遥と珠里を見る。


「えーと、遥、この続きはまた明日な」

「う、うん」

「じゃあ二人とも急いで寝る準備をしろ」

「え、でもお兄ちゃんキッチンの片付けーー」

「僕がやっておくから気にするな」

「わ、わかったよ」

「じゃあ二人とも行動開始」


それから僕達は急いでシャワーを浴び、歯を磨き、キッチンの片付けをした。

しかし、その努力も虚しく僕がベッドに入ったのは一時だった。


ーーああ、明日の朝寝坊したらどうしよう。


楽しんで頂けたでしょうか?

今回のお話は作中に出汁巻き卵単語が予想以上に出て来てしまいました。

次回からはまたパーティーの準備に戻ります。


ではまた

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