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24: クッキー

お楽しみください

ーーゼェゼェ、ハァハァ。


僕の家の前で二人の人間は激しい呼吸をしていた。

別に変態さんが興奮してしまって息を切らしているわけじゃない。

全力で走った結果である。


「間に合ってると、いいん、だけどなっ」

「そうっ、だね、お兄ちゃんっ」


まだ息が荒々しい僕と珠里は玄関の扉を開く。

するとそこには絶望的な姿ーーつまりエプロン姿の遥がたっていた。


「ま、まさか遥、お前料理したのか?」


僕は先程とは違う種類の汗が青くなっている頬に流れるのを感じた。

珠里も同じく顏を青くしているのを見て絶望したとき遥が返答した。


「ううん、してないよ。ただ帰って来たらお腹減ってると思ってクッキー焼いてたんだ。リビングに置いてあるから行こ」


さらに追い討ちをかけるような言葉を残して遥はリビングに歩いてゆく。

ーーいや、むしろクッキーだけですんだことに感謝するべきなのかもしれない。

しかしそんな僕の思いはすぐに裏切られることになる。


「さあ、食べて食べて」


テーブルの上に置いてあるクッキーを指して遥が急かしてくる。

まあ、クッキーも見た限りでは問題なさそうである。

とゆうわけでーー


「「いただきます」」


僕と珠里は同時にクッキーを口に運んだーー


「っ⁉」


そしてそれと同時に


ーーふにゅり


と、なんとも形容し難い感触が僕の口の中にひろがった。

これは、何だろうか。

味は決して悪くないのだ。ただ感触がまるで腐ったバナナのような、もしくは水を吸ってふやけた煎餅のような、嫌な柔らかさなのだ。

隣を見れば珠里は顔を青くしてクッキーを飲み込めずにいた。


「どうおいしい?」


そんな中笑顔の悪魔は感想を僕達に問いかけてくる。

今回僕は仕方なく少し本当のことを話すことにした。


「味は、な。ただーー」

「ただ?」


遥は首をかしげて問いかけてくる。

珠里は「言っていいの?」と、目で問いかけてくる。


「ーーただ、柔らかくないかこのクッキー……嫌な方向に」

「え?」


遥は困惑の表情を僕に向けてくる。

ーーやはり自分の料理を美味いとおもっているのか。


「柔らかくないか? って、言ったんだ。何でこんなに柔らかいのかって」

「あ、何だそんなことか。マズイって言われたのかと思ったよ。で、何で柔らかくしたのかってゆうとねーー」


いや遠回しにマズイって言ったんですよ?何で気づかないのコイツ。

しかも遥の話だと確信犯じゃん、遥。

そんな僕の心境を知ってか知らずか遥は話を続ける。


「ーーでさ、私はカントリー○ーム見たいにしっとりさせたら美味しくなるんじゃないかなって思ったんだよ」

「いや、遥のクッキーとカントリー○ームじゃ全然違うからな‼ 遥のはしっとりってゆうよりはびしょびしょの嫌な感触がするんだよ」

「え?」

「お兄ちゃん‼」


しまった、つい本心が。

しかし言ってしまったものはしょうがないし、時間は巻き戻らない。


「そっか……、私の料理、やっぱりマズイんだ」

「もう隠してもしょうがないか。ーーそうだ、遥の料理はマズイ」


僕の言葉に遥の表情は暗くなる。

だから僕は遥を励ますために言葉を続ける。


「でもさ、不味くてもいいじゃないか」

「悠?」

「料理が下手なら練習すればいい。勉強と同じだ」

「悠……」


励ましになったのかはわからないが、遥の顔が少し明るくなる。


「そう、だね。うん、練習すればいいよねっ」

「そうだよ」


僕はこれでクッキーの件は終わったと思った。

だが遥から申し訳なさそうに、絶望的な言葉が発せられる。


「あのね悠、珠里。実は後クッキーこんなに残ってるんだ」


そして僕と珠里の前にはクッキーの山が置かれるのだった。



どうでしたか?

ついに悠は言っちゃいましたねー。この言葉で遥は料理が上手くなるのでしょうか?

感想お待ちしてます。


ではまた(眠い目をこすりながら))

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