18: 頬の湿布
あけましておめでとうございます。
「あいかわらずだけど長かった。もう歩きたくない……」
僕達三人は長い道のりを踏破してようやく生徒会室の前にたどり着いていた。
ーーこれだけ大きな学園を作るお金があるのなら通学用のバスを作ってくれてもいいのに。
「お兄ちゃん、男なのに情けないこと言わないのー」
「そうだよ悠。男の子は強くなくちゃ」
「まったくだ。なんて情けない」
「そんなこと言ってもなー。うん?」
待てよ。今、遥と珠里の他にもう一人いなかったか?
その正体を確かめるべくおそるおそる後ろを振り向くとそこにはーー
「おはよう。期待の新人達と悠」
「あ、おはようございます会長」
「会長さんオハよー」
ーー会長がいた。
ってゆうかいつからいたんだ⁉
そして遥と珠里は何でまったく動揺してないんだ⁉
動揺して言葉を発さない僕を会長は怪訝そうな顔で見てくる。
「何で悠はあいさつをしてくれないんだい?二人はしてくれたとゆうのに」
「いえ、会長が急に現れたので驚いていただけです。ーーおはようございます」
僕は色々突っ込みたいのを抑えて会長にあいさつをする。
会長は僕の心情を知ってか知らずかーー
「うむ、おはよう」
ーーさわやかに返してきやがった。
そして清々しいさわやかな表情の会長を先頭に僕達は生徒会室に入って行った。
ーーそして生徒会室に入ってからすぐに
「ぷっ。くふふ、あはははははっ‼」
会長は僕の顔を見て大笑いしはじめた。
ーーわかってた。僕はわかってたよ、笑われるって。
笑いだした会長は自分の席に着くのも忘れて腹を抑えている。
「くくっ。ど、どうしたんだい悠っ。その顔は⁉新しいファッションか?あはははーー」
「昨晩から今朝にかけて色々あったんですよ。色々ね」
「ーー。ふーん、色々ねぇ」
会長は笑うのをやめて僕の顔をじっと見つめてくる。
「大方悠がへまをやらかして遥か珠里にはたかれたんだろう?」
「何でっ‼」
ーー何で分かるんだよっ‼
会長は超能力を使えるのかもしれないとこの時僕は結構本気で考えた。
「何で分かったんだっ⁉ って表情だね。しかしね、湿布から手形が薄っすらとだがはみ出して見えているんだ。分かるに決まっているだろう」
「「えっ‼」」
ーー考えたが違っていたみたいだ。
僕は自分の頬を慌てて触ってみるが分かるはずもない。
ーーちなみに、僕と声が重なっていたのは遥だ。
そしてその遥といえば顔を紅くしている。
そんな遥を見て会長がにやけている。
「へー、はたいたのは遥か」
「うっ‼」
遥がうめき声をあげてさらに顔を紅くする。
そして遥の反応を受けて確信した会長が意地悪そうに言い放った。
「とりあえず私にはたかれた時のことを聞かせてくれないか?」
それから二十分の間僕と珠里は会長に昨晩と今朝の出来事を話していた。
会長はニヤつきながら話を聞いていた。
そして遥はずっと顔を紅くしていて、最後には涙目になっていた。
「いやー、いい話を聞いたよ。正直おもしろかった」
「おもしろいのは会長だけです‼」
「まあ、そう怒りなさんな」
「怒ってないです」
話が終わった後も会長はにやけながら僕とやりとりをしていた。
恥ずかしさに耐えることが出来なかった遥はソファの上で顔を紅くして寝転がって珠里に熱さましをしてもらっている。
少し時間が経ち突然僕と話していた会長が話題を変える。
「あ、そういえば私も悠に話があるんだ」
「そうなんですか。別に僕は会長に話があった訳じゃないですけど」
「まあまあそういいなさんな。それに話っつっても一言で済むしな」
「何ですか、その話って?」
「おう。実はなーー」
ーーガチャリ。
「おはようございます」
会長が何かを言おうとしたとき舞花さんが生徒会室に入って来た。
そしてソファに顔を紅くして寝転がっている遥を確認して駆け寄る。
「サーニャ、一体遥さんはどうしたのですか?」
「気にするな」
「気になり……」
舞花さんは僕の顔をみて言葉を止める。
それで一拍おいてからーー
ーークスッ
ーーと、上品に笑った後。
「何があったか教えてくださいますか?」
って、キラキラした目でにじり寄ってきた。
はあ、また話さなくちゃならないのか。
「わかりました。実は昨日のーー」
それから僕はまた二十分同じ内容を舞花さんに話した。
話しているうちに遥の容態がさらに悪化? していった。
「まあ、そんなことが」
「ええ、まあ」
話を聞いた後舞花さんは楽しそうな顔をしていた。
疲れるからツッコマないけど。
舞花さんは満足したのか遥の方へ歩いていった。
話が終わったのを確認して会長が話かけてくる。
「悠さっきの話だがーー」
会長は真剣な顔でこう言った。
「お前のこと副会長として登録しといたぞ」
「え?」
ーーキーンコーンカーンコーン
会長が言うのと同時にHR十分前を知らせる鐘がなった。
今年初の「僕の周り」投稿です‼
皆さん今年も作者と作品をよろしくお願いします。
ではまた。




